■住まいの話題[227]:和が楽
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なんとなくの和
はっきりとした和風ではなく、和のある暮らしというものを望まれる方もわりあい多いように感じています。最初から、必要緒室の中に和室という表現で依頼される場合もありますが、打合せを進めていくうちに、生活のスタイルとしては和に近いのかな、と思う場合があります。そうすると、特に畳の部屋はないのだけれど、計画としてはなんとなく和に近い形になってくる。和風というより、日本人風。

子供のころに暮らした家とか、そんな経験もあると思いますが、打ち合わせの際、生活の中の和みたいな話が出てきます。伝統的な和風というものではなく、現代的な設備やデザインも手伝って、言ってみれば「なんとなくの和」。そういったものが、自分なりにもしっくりくる部分もあると感じていますが、どのような部分で「なんとなくの和」が表れてくるのかをちょっと考えてみましよう。
引き戸のこと
左の写真はマンションの全面改装です。部屋の仕切りはほとんどが引き戸です。部屋として区切ることも、一体に開け放つことも可能です。もちろん途中で止めておくことも出来ます。風通しなどを調節したりできるわけです。以前は中廊下タイプのごく普通のマンション。風通しに悩んでいる部分もありましたから、玄関からつながっている土間というか、露地と、水廻りから抜けられる通路と、2つの道を設けて、南北の通風を引き戸で調節できるようにしてあります。開けたり、閉じたり、いろいろと対応できるわけです。

人の気配も変えられます。こういった可変の部分も「なんとなくの和」なのかと思っています。壁の中に引き込んでしまえば、目立たなくなるものと、開いている場面でも空間の模様になるように考えているものがあります。後者は障子とか格子戸とかです。こうした引き戸を、開け放したイメージでデザインや寸法を考えれば、わりと開け放した状態の空間に暮らしてもらえます。開け放してあるほうが気持ちいいし、風通しも良い。建物も長持ちすると思います。
自由が丘の住まい:
なんとなく和ですが、畳の部屋はありません。
まちだの家:
間借り的?和。
また、通常、敷居とか鴨居と呼ばれる部分は、出来るだけ目立たないようなデザインにしています。金物を加工したり、金属の部品を使ったりします。木と組み合わせて使うこともあります。木製だけですとどうしても大きなものになりがちです。既成の金物も使い方を工夫すると、全体のデザインがぐっと良くなります。
エッセンスと距離
右の写真は、和の素材がちょっと現れている中二階があります。木製の吊天井、畳に炉、トップライトのある床に和紙・・・。部屋としては屏風みたいな折れ戸で仕切ることができます。はっきりした部屋ではありませんが、和の素材というか、和の用語というか、エッセンスが配置してあるといった感じです。ちょっと場所を借りているといった感じ。気分的には離れ。

和はこういった、間借り的な方法でも楽しくなります。ごろごろ出来る場所にもなります。普段は景色みたいなもので、そこに入ると気持ちのいい空間です。部分的な和ですが、空間全体の雰囲気には重要です。決まりごとのない「なんとなくの和」でしょうか。それと、距離感みたいなものも重要です。気持ちのいい距離感が保てればさらに良いですよね。距離をつくるための方法もケースバイケースですが、いろいろあります。物理的にも、心理的にも。
やっぱり和の懐
和も良いなと感じることのひとつに、懐の深さがあげられるでしょうか。四季に対する考え方もそうですが、いろいろな変化に対しての許容力を感じます。低めのソファーなど、和室に合う家具などもいろいろありそうです。家電も最近は良いデザインのものが増えて、和の空間にも違和感がなくなりました。そういう点で、薄型テレビは特に画期的でした。CMではありませんが、テレビも環境ですよね。今や。和も。
住まいの話題[227]執筆者
■玉井 清(たまい きよし)/ タマイアトリエ 1級建築士事務所

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