■住まいの話題[244]:プランニング雑記
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住宅の平面計画
住宅を建てようと思ったことのある方は、一度は、方眼紙の上などに鉛筆を走らせ間取りを考えてみたことがありませんか。水廻り、子供部屋、リビング等々、使い勝手に合わせてあれこれ思考する。

実は、一見何でもないこの行為に少し疑問を感じています。名称がついた各部屋(リビング、ダイニング等)を並べていくことが、果たして、住宅の平面計画と呼べるのでしょうか?
家族の変化
昨年、取手に竣工した住宅の建て主であるN夫妻は、最初からこんなリクエストでした。「間取に捕われない家が欲しい」。特に2人の子供を持つ親として、子供部屋のありかたについて疑問を持っていました。小学1年生の長男には、そろそろ子供部屋が必要でも、保育園生の次男はまだ両親と一緒に寝起きしていたので、現時点では必要ない。

子供がいる家庭では、子供の成長にあわせてどんどん条件が変わっていきます。未修学時代は両親と一緒のことが多いし、小学生になって独立した部屋が必要といっても、まだまだ、生活の主体は家族の集まるスペースでしょう。中学・高校生の時期になると、自己確立のために独立した部屋が必要となります。でも社会に出ると家から独立するので、その必要性もなくなります。

また、地方の友人宅におじゃました時にも、思わず、むくむくと同じ疑問が湧いてきました。使われなくなった子供部屋がそのまま、当時学生時代に使っていた机やベッドなどと一緒に、残っていたのです。
N邸:外観 N邸:内観
名称のない部屋
必要なのは、名称がつくことによってその使われ方も限定されてしまう「子供部屋」ではなく、必要な機能を満たす空間である「スペース」ではないでしょうか。

作る側の論理で平均化され確立してきた“nLDK”(いくつかの個室とリビング・ダイニング・キッチンという住宅の構成を端的に表現したもの)という規範に対して、自分をあてはめるのではなく、もう一度とらわれずに、最初から考えてみることが必要ではないかと感じます。

そう考えると、いろいろなシーンを受け止めることができる空間には、名称などが付かない場合もあるはずです。例えば、N夫妻の住宅の場合では、子供の成長と平面計画がリンクしていけばよいと考えました。つまり、家族の変化を受け止める「箱」があればよいのです。1階はプライベートな空間とし、2階にはパブリックな空間を配置し、基本的に一つの大きな空間として全体を捉え、必要に応じて家具を動かしスペースをつくる。N夫妻と雑談を含め様々な事柄を話した後、ファーストプレゼンテーションで、その「回答=平面計画」を提出しました。
建て主×建築家
そこに住まわれる方とコミュニケーションを図り、疑問や生活像を話し合いながら一つの回答を見つけていくのが、住宅におけるプランニングではないかと思います。そして、その話し相手が建築家なのです。住宅とは、建て主だけでも建築家だけでも成立しないものなのかもしれません。

住人の個性は、まさに十人十色=住人十色。おのずと住宅も多様になるはずです。だとすると、方眼紙に書く前に必要なことは、話し相手を見つけることです。なぜなら、各スペースには名称すらなく、まだ一つの明確な答えさえもないのです。その答えをこれから見つけていくのだから。

さあー、まだ見ぬ理想の住宅を探す旅に、出発しましょう!
住まいの話題[244]執筆者
■二瓶 渉(にへい わたる)/ アーキ エア

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