■住まいの話題[248]:住宅建築経済学入門
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家を建てる目的は皆さん様々ですが、建て主にとってなにが一番重要なのかを我々が整理して現実の建物に落とし込みます。その場合に抑えておかなくてはならない一番重要なことは、建設時を含めた将来にわたる建築を通じての経済的な見通しだと考えています。
資金の経済学
住宅を建てる理由は様々です。結婚・出産など家族形態の変化をきっかけにして、自宅を仕事場にいわゆるSOHOスタイルの実現のため、ご両親との同居を考えてといった理由も多いでしょう。それだけ住宅建設に至る経緯は様々で、住宅建設はそういったご家族の事情を反映します。賃貸家賃を払い続けるよりも、住宅ローン返済が可能であれば住宅を購入した方が将来のためにもプラスである点や、事業計画を立てて一部を賃貸にといったように、ご家族に合った最適なメニュー作りをするのが資金計画です。
計画の経済学
取得した敷地を無駄なく使うのが経済的な計画の第一歩です。敷地境界はぎりぎりどこまで寄せられるか。敷地を最大限利用する場合は、外壁仕上げだけではなく、構造工法も含めた最適な手法を設計上盛り込みます。また、北側斜線などで大きくボリュームを削られる場合などは立体的に計画するのも手です。例えば、半地下やロフト化なども有効でしょう。折角取得された土地なのですから無駄なく全てを使い尽くす。鮭の皮や骨までも炙って調理に組み込んでいくといったような、名料理人にも似た技量が必要なのです。
武荘(Take-soh):将来の街並形成を
ねらった「はじめから古い煉瓦の家」
乗藤邸:敷地ぎりぎりを活用した
「数寄屋住宅の路地玄関」
設計の経済学
設計上の配慮によって工事費はずいぶん変化します。水廻りの位置をどこにするか。給水・排水などは最終的には道路側に埋まった本菅に接続しますから、なるべく配管経路を短くするのもコツのひとつです。また、窓の位置も重要です。極端な大開口のせいで、夏と冬の冷暖房費用を考慮していない物件などたまに目にしますが、やみくもに南側に窓を設けるのでなく、敷地にとって光を取り入れられる場所はどこかを綿密に検討することが肝要です。特に周囲が建て込んでいる敷地などは、コーナー側に視覚が抜けていることが多いのでそこを狙います。また、トップライトの効果的な使い方も有効です。
施工の経済学
施工方法や素材、そして工法の選択は、建築工事費の6割を人件費が占めているため非常に重要です。敷地状況やプランニングや予算に合わせた工法を合理的に組み合わせることで、当初予想の2割減といった事例も数多くあります。また、工事会社の得意な工法や入手しやすい材料をあらかじめリサーチして設計するといったことも行います。特殊な素材や銘木などは我々が素材を探して現場に支給するなど、現場と設計が一体となって住宅建築に携わることによって解決していきます。
デザインの経済学
デザインといった芸術的な要素も大いに関係があります。建物は建てば終わりというわけにはいきません。完成後に生活が始まりローン返済が終わる30年後くらいまで生き抜く建物の性格を決めるのはデザインです。たまに見かけるレトロな大正モダン建築が素敵に感じるとか、やっぱり和風住宅に住みたいとか、50年代デザインの家具が人気といった現象は、そのデザインが時代を超えて生き続けているという証拠です。

今後、欧米並みに中古住宅市場が形成されていくとするなら、将来取り壊すのが惜しまれるような、流行に左右されない建物のデザインは資産形成にも非常に有効となるでしょう。
住まいの話題[248]執筆者
■森山 高至(もりやま たかし)/ 株式会社 アルス・ノヴァ

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