■住まいの話題[250]:SOHO住宅の設計について
画像をクリックすると大きなサイズで見ることができます。
職住一致の空間
現在、等々力渓谷(東京都世田谷区)の近くに、賃貸の集合住宅を設計している。その敷地は、建築協定が締結された地域内にあり、緑が多く残り、環境が守られている。

当初の計画では、LDK+ベッドルームをワンルーム的につくった住戸を想定していたが、クライアントの考えにより、ワークスペースを加えてSOHO住宅に計画変更した。今後、SOHO住宅の需要は増えるので、環境の良いSOHO住宅を提供したいとのことだった。最近ではフリーランスだけでなく、会社が社員に在宅勤務を許可することが増えているという。フリーランスに企業のホームワーカーが加わり、職住一致の空間とそのライフスタイルを見直す良い機会としてとらえている。
意識の転換
SOHO住宅を考える場合、最も重要なのは、普段の生活と仕事、いかにメリハリをつけるかということだろう。個人の性格や意志の強さによって違いはあるが、ワークスペースとプライベートスペースでは、何らかの意識の転換が必要である。単純にスペースを分けるだけでなく、行動を伴って意識の転換をするのが良い。例えば、「階段を上る(レベル差)」「靴を履く(土間スペース)」「一度外へ出る(離れ)」等々。

今回の設計では、レベル差と土間スペースを組み合わせて、2タイプの住戸を計画している。一つのタイプは7、8段のレベル差があるもの。もう一つはプライベートスペースとの関係性をもたせたもの。意識の転換には何段上ればいいのか、どの程度プライベートスペースと離せばいいのか、建築の微妙な操作によって仕事の効率も質も良くなる。
2タイプの住戸 レベル差のある空間
ワークスペースの空間性
私は、空間の良し悪しが人々の働き方に強い影響を与えると考えている。その意味でワークスペースの空間性は重要だ。しかし多くの場合、仕事場にできるスペースは限られていて、十分な広さを確保することはできない。今回の場合もワークスペースにできるのは、6,7帖程度しかない。この狭い空間をより広く見せるため、二つのことを意識している。一つは開口部の設け方。敷地周辺にある空地や緑をいかに取り込むか。プライバシーを保ちつつ、視線が抜けるようにするにはどの位置がベストか。開口部のあり方で、空間の質は大きく変化する。

もう一つ意識したことは、天井の連続性。生活のメリハリが失われないように、プライベートスペースとワークスペースを、天井レベルでつなげている。それによって生活臭を感じることなく、空間を広げられる。また、各室のちょうど良い天井高を考察して、断面計画に組み込んでいる。
各室の配置
ワークスペースは、居住者以外にも働く人がいることや、取引先や顧客が訪ねてくることを想定し、入口部分に配置。プライベートスペースへの動線は、ワークスペースを横断しなくてもいいように計画している。ベッドルームは最もプライバシーが高いスペースなので、奥に配置する。この時、重要なのはトイレの位置。この規模の集合住宅ではトイレを2つ設けるのはバランスが悪いので、プライベートスペースとワークスペースの間に設けるのが良い。トイレに行くときに相互のスペースの影響を受けないような位置としている。
「いい空間」から「いい仕事」
今回のSOHO住宅は、オフィスだけでなく各種教室、ギャラリーとしての対応も考慮している。事務作業的なものからクリエイティブなものまで、そこで行われるいろいろな仕事が想定されるが、「いい空間」としてだけでなく、「いい仕事」がそこから生まれることを期待している。
住まいの話題[250]執筆者
■阿部 智樹(あべ ともき)/ タステン一級建築士事務所

旭硝子株式会社
お役立ちリンク  資料請求  お問い合わせ  サイトマップ  ご利用環境  サイトポリシー  品質への取り組み
(C) copyright 2001-2005 旭硝子株式会社 All right reserved.