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| 照明のデザインという仕事 |
「太陽の光と建築」というテーマは、建築家にとって飽きることのない重要かつ魅力的なテーマのようです。最近では光を透過させる建築の素材として様々なものが使われ、自然光の下での空間体験もいろいろ新たな可能性を探りつつある状況です。
一方、太陽が沈んだ後の人工の光空間というのもまた違った魅力的な風景です。人工照明が建築や都市に対してどういったことができるのかに興味があったため、私は数年間をプロの照明デザイナーとして実務に携わってきました。
私自身は、家具や照明器具やインテリアのデザインから建築設計までを自分の仕事の範囲としていますので、照明デザインというのは簡単な言い方をすれば、空間をデザインしていくためのツールや手法の一つと位置づけています。
建築の設計に際しては、空間を作っていくための要素として構造材や仕上げ材(その部屋に適した床材は何かなど)を選びますが、私の設計では他の要素の選択肢と比べても比較的早い段階から、照明による光の状態や照明器具をしっかりと検討していこうと考えています。照明がもたらす空間への影響を重視しているからです。 |
| 照明に対する意識 |
照明は機能的に必要なことをクリアするだけであれば難しくはありませんので、それを越えて遊びや演出が本気で求められていない限り、照明デザイナーの出る幕はあまりないでしょう。だからこそ、照明デザイナーは照明によって生み出すことができる新しい空間体験を作っていかなくてはならないと思っています。
そういう本質的な意味でクリエイティブさを追求する一方で、生活の場を潤す洗練された光の環境もより多く作り出されていくべきだと考えています。これら二つの方向性はともに照明に対する人々の意識とも関わってきます。個々の照明について光を楽しむ意識が育っていけば、身近なところで光の環境がもっと豊かになっていくと思います。 |
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| ギャラリースペースにおける照明器具の展示例 |
デザイン中の椅子のモックアップ |
| 住宅における照明 |
照明デザインは、建築設計全体の膨大な業務の中ではほんの一部分ですから、割り当てられる費用も含め、他のいろんな要素と比べて優先順位が下がりがちです。でも、今やわれわれは生活時間の半分近くを人工照明のもとで過ごしています。空間を計画する設計者は、自然光について考えるのと同様、人工照明についてもっと様々な可能性を考え、設計上の優先順位を上げていくことも一つの方法ではないでしょうか。
これまで関わってきた照明デザインの業務では商業空間が多かったのですが、住空間の照明についてもできることはたくさんあります。住宅の場合、凝ったことをせずとも、複数の照明器具を効果的に使うことで、比較的簡単に空間の雰囲気を演出したり変えたりすることができます。調光できるとさらに繊細なコントロールが可能となります。
個人住宅の場合はスペースに限りがあるのでなおさら、時間帯や使い方によって空間の雰囲気を変えるための方法として照明をうまく使うことは有効です。家具の配置換えや装飾を変えることに比べ、費用の面でも手軽ですし効果的だと思います。 |
| 照明の詩学 |
| 照明について一般的なことと実用的なことを述べてきましたが、私自身が目指すところは、例えば多くの建築家が光の詩学を探すように、照明の詩学とでもいうものを見つけたいと思っています。それがどういうものなのか、簡単に言葉では表現できませんが、試行錯誤しながら実際の作品を通して見つけていくつもりです。 |
住まいの話題[252]執筆者
■安齋 哲(あんざい てつ)/ 株式会社 ハウスオブトゥモロー |