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| ボリュームを抑える |
以前設計したある住宅で、設計開始当初にボリュームチェック(法的規制を調べてその敷地に建てることが可能な建物の最大の大きさを算出すること)を行い、そこから導き出された最大の床面積や容積を確保するべく、地上2階+半地下の5層スキップフロア構成の住宅の提案をしたことがあります。
その提案は建て主に受け入れてもらえたのですが、設計を進めるうちに半地下部分があることや、最上階はその下の階の1/3程度の床しかとれないことなどが気になってきました。建設費が割高になるということも含めて、建物のあり方として少々不自然ではないかという気が拭えなかったのです。
住宅を計画する際、建物の規模が敷地の建蔽率や容積率あるいは建て主の経済状況によって決定されてしまうことがあります。多くの場合、そこには建て主にとって本当に必要な規模はどれぐらいなのかという視点が欠けているような気がします。この時の提案も、そのような流れの中で生まれてきたものでした。
幸いこの時は、設計期間に比較的余裕があったこともあって、途中で方向転換をすることが出来ました。半地下部分やスキップフロアをやめ、普通の2層構成に組立直したのです。このことは結果として、採光・通風のための中庭や、2階居間と連続する大きなテラスといった半外部空間を設けることを可能にしました。
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| 境界を曖昧にする |
| 今まで自分が設計してきた住宅を思い返してみると、そのほとんどは道路境界に塀がありません。塀を設ける面積的余裕が無かったというのが主な理由ですが、もう少し積極的な理由もあります。道路境界に何も無いかあっても小さな段差や植え込み程度であれば、物理的にも視覚的にも連続性を感じさせることが出来ます。そのような状態においては、建物の外壁と道路の間の空間は敷地内でありながら道路の一部としても認識されるでしょう。
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| 2階居間と連続するテラス |
道路を敷地内に引き込む |
| 塀を作らなかったり、道路や隣地と連続する中庭をつくると、道路や隣地との物理的・視覚的境界は曖昧になり、その住宅は街や隣家といった周辺環境と関係をもち始めます。例えそれが小さな住宅であっても、周辺環境と相互に適度な関係をもつことにより、双方に奥行きや拡がりが生まれます。 |
| 色気を出さない |
街を歩いていて“うわっ”と思う住宅を見かけることがあります。たいていの場合、そういった住宅は周囲から浮いて見えます。ほとんどは鮮やかで派手な色の外壁であったり、○○調など西洋の様式建築を模した過度に装飾的なケースですが、明らかに建築家が設計したと思われる住宅でも“うわっ”と思うことがあります。この場合は、その後に「頑張っちゃったなぁ」と続く“うわっ”です。自分も含めて建築家というのはデザインすることが好きですから、デザインをし過ぎることがあります。結果として、いかにも「デザインしました!」という感じの気恥ずかしい住宅が出来上がってしまいます。
ですから、僕はそうならないように、なるべく「色気のない」デザインをするように心がけています。大人しくて目立ち過ぎない、「見て、見て」という気持ちを適度に削ぎ落とした住宅です。
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| そしてたたずまいの良い住宅 |
| 最近はあまり耳にすることも無くなりましたが、「たたずまい」という言葉があります。やや情緒的な言葉ですが、少し広く考えると、これは建築と周辺環境の関係を表す言葉でもあります。ある住宅が周囲と適切な関係にあると感じられるときに、人はたたずまいの良さを感じるのではないでしょうか。僕もここまで書いてきたようなことを頭におきながら、たたずまいの良い住宅をつくっていきたいと考えています。 |
住まいの話題[297]執筆者
■大塚 誠(おおつか まこと)/ TSKアソシエイツ |