■住まいの話題[335]:敷地のこと
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よい敷地?わるい敷地?
今、設計を進めている住宅の建主とお会いした当初、自分たちの購入した敷地がよくないのではないだろうか、失敗したのではないだろうか、とずいぶん気にされていました。いただいた敷地図から読み取れる事は、いわゆる「旗状敷地」で、当然のように四方ともお隣さんの敷地に囲まれているという事でした。ほどなくして現地を訪れてみると、建主の不安とは裏腹に、ぼくはいろいろな魅力を発見することができました。

また、あるお客様からは敷地探しの段階から含めての相談を受けています。その条件は都心部の便利な場所で、川/堀割の傍や公園を望めるような眺めの良い場所、という事です。このような、今となっては奇跡的な敷地はなかなか市場に出てくるものではなく、不動産業者との協力体制が必要になり、息の長いプロジェクトになるものと思います。

「よい敷地」とはどんなところだろうか? 「わるい敷地」とはどんなところだろうか? 
そんな事を都市の中にある敷地とその周辺の環境との関係性をテーマに、ぼくがどのように敷地を観察し、設計しているか、実例をもとにお話しします。それは敷地の実力を発揮させる方法でもあります。
旗状敷地
この敷地は都心から電車で20分程度西にいったM市の住宅街にあります。エリア一帯は第1種低層住居専用地域で、本来は低密度で良好な住居環境が形成されているべきところです。しかし実際は地価の高騰の影響等で、以前はゆったりとしていた敷地を細分化し、再宅地化している例が増えたため、ゴチャゴチャとした印象をうけます。

この敷地はまさにそのような状況の中で、さらに2mの接道部分を確保するために旗状化しています。でも、敷地の旗状の部分から周囲を見回し、観察してみるといろいろな発見があります。たとえば、(1)西側の敷地の庭の緑とその空間(これはある程度の長い年月の中で変わらないものとして評価)。(2)北側の敷地とのずれに伴う長い長い抜け(これもある程度の長い年月の中で変わらないものとして評価)。(3)西側、南側の2Fレベルでの抜け(これはある程度の年月の中で変化する可能性が高いものと評価)。(4)そして演出効果の高い、長い長いアプローチ、などなど。

このような敷地の魅力を建物のレイアウト、設計に取り込み、「旗状敷地」とは思えない眺めや抜けのある建物として現在設計を進めています(2007年春完成予定)。
旗状敷地 下町の狭小地
下町の狭小地
この敷地は東京の下町にあります。このエリアは準工業地域ですが、古い町工場街に住宅やマンションがどんどん入り込み、いろいろなスケールの建物が混じりあっています。敷地は南北2面が開放され、都市部にあっては恵まれた立地ですが、向かい側にマンションや住宅が建ち並び、雑然とし、窮屈な感じがしました。

この条件に対して、南側はT字路に少しだけ面しているので、そこから広がるおおきなおおきな空間を取り込むことにしました。また、北側は堀割の桜並木にあわせて水平方向に間口一杯に低い開口を取りました。

こうすることで、南側は雑然とした町並みを眺めることなく、はるかとおくまでのスケール感を取り込むことができ、北側も向こう岸からの視線をあまり気にすることのない、親しげな開放感を獲得できました。そして、ちいさな敷地ですからこの南北の仕掛けによって、周辺一帯の持つ力/気のようなものを建物で遮ることなく、気持ちよく透過させることができました。
ふたたび、よい敷地?わるい敷地?
実例からもわかるように、一般的には「わるい敷地」と思われがちな敷地でも、きちんと観察をし、評価することによって、その実力を見つけ出すことができます。もちろん地盤や、法規、敷地条件も含め検討する必要はありますが、「わるい敷地」なんてないんじゃないか、と思います。

だから、夢と勇気があればどんな問題でも解決できるんじゃないか、と思います。夢をあきらめないでください。
住まいの話題[335]執筆者
■今野 政彦(こんの まさひこ)/ 有限会社今野政彦建築設計事務所

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