■住まいの話題[337]:建築家によるリフォーム
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今流行のリフォーム
最近、建築業界もリフォーム・リノベーションが話題になっております。マスコミにも頻繁に取り上げられブームの感さえあります。世の中も、つくる時代から再生の時代に入り、リフォーム・リノベーションは今後益々増えていくことと思います。

私の事務所でもリフォームの相談を頻繁に受けます。リフォームはコスト的にも新築と違って頼みやすいのでしょう。キッチンが古くなったので取り替えたいのですがどうすれば良いでしょうか、和室ばかりの古い家で、今の生活スタイルに合わないので洋室にしたいのですが、といった様々な相談があります。
リフォームで問題になること
こういった相談に私がすべて対応できるかといえば、そこには様々な問題があります。

まず第1に、依頼者の相談に対して建築家として対応する仕事内容なのかという問題です。設計者は依頼主からの様々な要求に対して、その要求を実現すべくアイデアやイメージを提案するのが仕事だということです。建て主の要求が、提案を必要としていない場合、例えば、キッチンを変えたいなどといった依頼に対して建築家が対応するべきなのかは疑問です。建築家に頼めば全てうまくいくとは限りません。

第2には、コストの問題があります。設計者も仕事ですから当然設計すればコストがかかります。予算100万円内でリフォームしてもらえますか、という相談があります。当然この中には設計料も入っているのでしょう。結局、コスト的に合わず、ご相談をお断りするケースがあります。どうしてもリフォームの場合、当初からコスト的な制約が多く、設計者が介入するのが難しいケースが多いのです。
窓の無いリビング(リフォーム前) 明るく開放的なリビング(リフォーム後)
建築家の想い
昨年、マンションの1フロアを2世帯住宅用に全面改修するという仕事がありました。

44坪の改修ですから面積的にも余裕がありましたので、いろいろな提案を盛り込みプレゼンテーションしました。玄関を入ると世帯間に半屋外的な土間空間があり、その空間から各世帯にアプローチする計画でした。建て主さんへの説明はうまくいきましたが、その後家族会議になりもっと普通の案にしてくれないかということになったというのです。普通の案というのも変な言い方ですが、私の提案は親世帯が受け入れられないというものでした。

私はそのとき、この仕事を引き受けていいのだろうかと真剣に悩みました。なぜなら普通の案が良いということは、私が設計者としてこの仕事への関わり方が不明瞭になり、また、いわゆる分譲マンションのようなnLDK的プランを望むのであれば、他でもっと経済的な方法で出来るのではないかと思ったからです。
建築家によるリフォーム
今建築家に頼むリフォームがTV、雑誌を中心に流行っているようですが、私の考え方は必ずしも建築家に頼んだほうが建て主にとっての良いリフォームになるとは限らないということです。建築家にはそれぞれの空間や住まい方に関するこだわりがあります。建て主さんが喜んでくれれば何でもやりますという建築家はいないでしょう。ということは、建て主さんの希望と建築家の提案が必ずしもマッチするとは限らないのです。

建て主さんの希望、更なる建築家の提案、これらがうまく昇華したとき、建て主さんの理想の空間が見つかると思いますし、建築家も建て主さんの喜ぶ顔が見たくて日々格闘しています。
住まいの話題[337]執筆者
■飯塚 拓生(いいづか たくお)/ 一級建築士事務所 飯塚拓生アトリエ

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