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| 日々様々なお仕事を頂いて、空間をつくるお手伝いをしていると、自分たちの生活からは想像もできないくらい多様に、素敵な生き方をしている人たちと出会います。どのような建物をつくる時も、みなさん空間に込めるそれまでの歴史や経験に裏打ちされた生き方や価値観を情熱的に語って下さいます。そのようなお施主さんたちに刺激を受けてたびたび考えます。私たちも施主になりたいなあと。さて私たちが施主だったら、どんなマイホームになるでしょうか? |
| シミュレーション:銀座に進出 |
まず、場所について考えてみます。この先10年の目標は建築設計事務所をベースにいろんな分野に挑戦していくことです。住宅や店舗はもちろん、将来は美術館や学校や病院なども設計したいし、音楽やファッションやグラフィックの世界とも協働してみたい。家具やアートも!となると、情報や人の集まるところに事務所を構え、私たちからも情報を発信したい。自分たちも磨けるハイエンドな文化の中心はどこだろう?と考えていると、一流の人たちが集まる銀座が浮かび上がってきました。通勤の時間がもったいないので住宅も近くにほしい。だんだんお金が心配になってきましたね。
次に、それを実現できそうなプランを考えてみます。まず老朽化した6階建のビルを安く買います。改装して6階と地下1階を私たちのオーナーハウス、5階を自分たちのオフイスにして、4階以下を友人たちに貸して資金繰りをします。例えば、4階はファッションやグラフィックのデザイナー事務所。3階は経営コンサルタントのSOHO。2階は託児ルームを開く夫妻の住居。1階は敏腕のシェフがカフェ&レストラン&バーをオープンしているなんてどうでしょうか。
4階と5階は刺激し合い、時には一緒に仕事をします。経営コンサルタントは各々の会社をサポートしビルの運営を盛り上げます。2階では働く親の近くで子供を安全に育てます。そしてビルの住人はいつでも1階で健康的なおいしいご飯が食べられ、お客様とランチミーティングや仕事後の一杯も楽しめます。様々な出会いを想像するだけでわくわくしてきました。 |
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銀座の一等地に事務所と住宅が あればエキサイティング |
のどかな集落でゆったりと 暮らすのもまた一興 |
| マイホームは趣味三昧 |
| さて、オーナーハウスはどうしましょう。最上階の住居は子供も遊べるような庭園の中に立つような感じがいいでしょうか。庭に開かれたリビングや使いやすいキッチンはもちろん、庭や遠景を眺めつつ、お茶を点てられる4畳半小間の草庵風茶室があったらいいなあ。桐の床框に北山丸太の床柱と杉の落掛を取り合わせ、竹の駆込天井が低く掛かっているようなしっとりした設えにほの明るい椿が一輪さしてあったら、忙しい最中にも心が落ち着き、気持ちよくお客様をお迎えできる空間になるだろうなあ、と夢は膨らみます。5階の一部には充実した図書室、そして地下にゴルフ練習場や防音室があれば、楽器やダンスの練習もできるし、子供たちも大騒ぎできる遊戯室になり一石二鳥。みんなでビルを丸ごと使って楽しめそうです。 |
| 子供と環境 |
| 夢はどんどん膨らんでいきますが、そこで立ち止まって考えてみました。子供にはこのような環境でいいのでしょうか? 魅力的なプランですが、それに対する反論もあります。自分の子供時代を思い出してみると、やはり車を気にせず走り回ったり、お花を摘んだり、土をいじったりして遊びたいなあと思います。なによりも様々な情報にさらされるより、ゆっくり自分で考える時間が一番子供にとっては大事じゃないかな? 子供が生まれたら、資産価値を高めた銀座のビルの売却資金で、東京に程近い海辺の田舎に一軒家を建て、子育てと仕事の両立もいいなあ、という都合のいいプランも出てきました。 |
| 人生設計と空間のつながり |
| このように私たちは、人生設計・空間・場所を常にセットで考えていることに改めて気付かされます。それらが別個のものではなく、切っても切れない縁にあることを様々な事例から学んできたからだと思います。ただそれらのつながりは自動的に与えられるものではなく、よりよいつながりを見つけるためにも、お施主さんの希望や私たちの知識や経験を総合して具体的な空間に翻訳する必要があります。私たちは、そのような空間を提案することで、お施主さんの人生設計をより豊かにするお手伝いをしたいと考えています。 |
住まいの話題[476]執筆者
■谷 真紀子(たに まきこ)/ (株)須川ラボ建築設計事務所 |