■住まいの話題[477]:僕流・職人さんとの付き合い方
画像をクリックすると大きなサイズで見ることができます。
ハプニング!
おめでたい建前当日の出来事です。

棟梁のサトシさんは40代半ば。若いころから先代に厳しく叩き上げられ、今まさに油の乗りきった「旬」の棟梁です。仕事は早くしかも綺麗。無駄無く流れるような身動きで寸分違わず仕事を収めて行く様は見ていて気持ちが良い程です。彼とはすでに3軒の家を建て気心も知れた仲になり、私は全幅の信頼をおいています。

今回は和風の方形屋根の少し難しい家ですが、応援の大工さんや各職方も活気があり、気持ち良く現場が進んでいます。

3時の一服を機会に、下で見ていた私も組み上がった2階に上らせてもらいました。和風の真壁造りの家は柱や梁は全て室内に見えるため、材料には汚れが付かないよう紙が巻かれています。吊り上げるときに破れてしまったのでしょう、化粧梁の一部が表れていました。梁には壁下地の間柱を差込むホゾ穴が掘られていますが、見るとそれが幅広の大壁用になっており、化粧梁全てになんと欠き込み(溝)が表れてしまっているではありませんか!!

棟上げを楽しみにしておられた建主さんも、まもなく到着するところです。

現場の士気を下げないよう、この場は黙っていようかどうか悩んでいたところ、それを察して棟梁も気が付き、意気揚揚としていた顔色が瞬時に変わりました。決定的なミスです。ばらして組み直しを指示するなら、全て組んでしまうよりクレーン車や人手がいる今しかありません。私は判断を棟梁に委ねました。
上棟風景1 上棟風景2
棟梁はこのまま組み上げる事を前提に、いくつかの修正案をその場で提案しました。欠き込んでしまった梁の部分まで天井材と同材を張るという方法です。今回の天井材は杉板を加工した縁甲板です。壁際の梁が隠れてしまい、図面とは違う仕上がりになってしまいます。

しかし、実は当初の設計では杉板をそこまで張ることも検討していました。手間がかかるため諦めていましたが、ひょんなことからより良い方向への修正です。その後作業は順調に進み無事上棟、夜はめでたい酒宴となりました。
現場の心得
現場は様々な職種の多くの人の手によって出来上がります。ヒューマンエラーはつきものと思って良いでしょう。

「止め止め・図面とおりに直して!」と厳しくやるのも必要ですが、時としてそれが最善とは限りません。あまり有ってはいけない事ですが現場の失敗をカバーできるだけのアイデアを出せる事も、我々の仕事の一つと思っています。

先日、サトシさんの現場に行きました。天井の杉板は予定していなかった部分まで丁寧に手間をかけた目透かし張りになっていました。設計や監理者がひとりよがりで現場が萎えてしまっては良い家などで出来ません。信頼関係のもと我々も真剣に取り組み、職方衆も乗ってくれ初めて人に誇れる良い手仕事が残せるのだと思います。

最近は現場に日参し細部まで撮影チェックして、ブログなどで公開する監理者顔負けのマメな施主もいらっしゃるようですが、くれぐれも「KYな施主さん」(現場の雰囲気が読めない施主)にはなりませぬよう・・・、職人さんを乗せて良い家を造ってもらってください。
住まいの話題[477]執筆者
■中岡 猛志(なかおか たけし) / 中岡一級建築士事務所

旭硝子株式会社
お役立ちリンク  資料請求  お問い合わせ  サイトマップ  ご利用環境  サイトポリシー  品質への取り組み
(C) copyright 2001-2005 旭硝子株式会社 All right reserved.