ガラスを安全に末永くお使い頂くために、 板ガラス製品全般に関係する注意事項をまとめました。 カタログをご利用になる際、是非ご確認ください。 また、各商品グループ・商品に特有の注意事項に関しては、 第16章の「設計・施工上のご注意」欄でも詳細にご説明しています。 併せてご確認をお願いいたします。 |
||||
|
||||
ガラスの品種・呼び厚さ・納まりのご設計にあたっては、下記事項をご考慮ください。
|
||||
● 商品仕様を十分ご確認の上、商品を選択してください。 ● 省エネ・安全・防火・意匠など、求められる機能からガラスの「品種」をお選びください。 ● ガラスの使用部位・寸法などの条件から、必要な技術検討を実施頂き「呼び厚さ」をお選びください。 ● 呼び厚さ・最大寸法などの品揃えは、ガラスの品種ごとに異なりますので、商品の「バリエーション」欄および第16章「製品の種類と寸法一覧表」の最大・最小、規格寸法を今一度ご確認ください。 ● ガラスを安全に末永くお使い頂くため、「納まり」などガラス周辺のご検討も合わせてお願いいたします。 ● 商品の仕様によって、その商品独自のご注意のみならず、商品を構成するガラス素板それぞれのご注意にも合わせて配慮いただく必要があります。 |
||||
設計上のご注意
|
||||
ガラスの強度検討
|
||||
外力によるガラスの破損を防止するために、必要に応じて次の(1)~(5)の強度検討を実施の上、ガラスの品種・呼び厚さをご選定ください。 | ||||
(1)風圧に対する強度検討 | ||||
例えば、窓や外部ドア等、風圧を受ける部位にガラスを使用される場合は、台風時の強風等によるガラスの破損を防止するため、耐風圧強度をご検討の上、ガラスの品種・呼び厚さをご選定ください。〈技術資料編4- 1参照〉 | ||||
(2)衝撃に対する強度検討 | ||||
例えば、住宅のテラス窓・学校の窓・公共施設の玄関ホール等、人体または飛来物による衝撃が予想される部位にガラスを使用される場合は、ガラス破損による事故を防止するために、「所定の衝突力に対して割れないガラス」または「割れても安全なガラス(合わせガラス、強化ガラス)」をご選定ください。〈技術資料編4- 3・4- 4・4- 5参照〉 | ||||
(3)傾斜面でガラスを使用する際の強度検討 | ||||
例えば、トップライトや傾斜面の窓等、垂直以外の角度でガラスを使用される場合は、風圧・積雪荷重・ガラス自重の組み合わせによるガラスの破損を防止するため、特別な強度検討を実施の上、ガラスの品種・呼び厚さをご選定ください。また、万一破損した場合のガラス破片落下による事故を防止するため、合わせガラスの使用・飛散防止フィルム貼付・網入板ガラスの使用等、落下防止措置を必ず講じてください。〈技術資料編4- 2参照〉 | ||||
(4)特殊な荷重を受ける場合の強度検討 | ||||
例えば、棚板や床等、特殊な集中荷重を受ける部位にガラスを使用される場合は、特殊支持条件のもとでの強度検討を実施の上、ガラスの品種・呼び厚さ等をご選定ください。また、床材としてガラスをご使用になる場合は、ガラス破損時の人体落下事故を防止するため、必ず強化合わせガラスをご使用頂き、万一、ガラスが1枚破損した場合でも、非破壊のガラスで設計荷重に耐えられるようにご設計ください。〈技術資料編4- 2参照〉 | ||||
(5)水圧に対する強度検討 | ||||
例えば、水槽やプールののぞき窓のように、長期にわたって水圧を受ける部位にガラスを使用される場合には、万一のガラス破損時でも二次的損害を防止できるように特別な考え方に基づく強度検討を必ず実施の上、ガラスの品種・呼び厚さ等をご選定ください。〈技術資料編4- 8参照〉 | ||||
熱割れを防止するための検討
|
||||
例えば、熱線吸収板ガラス・熱線反射ガラス等の日射吸収率の高いガラス、網入板ガラス・呼び厚さの厚いガラス等のエッジ強度の比較的小さいガラスをご使用になる場合、網入板ガラスを用いた複層ガラス等※をご使用になる場合は、日射によるガラスの熱応力破壊(熱割れ)を防止するため、熱割れ強度をご検討の上、ガラスの品種・呼び厚さ・窓枠の種類・窓枠への納まり・カーテンやブラインドの種類等をご選定ください。また飛散防止や遮熱・遮光等の機能を持ったフィルム等を貼る場合は、必ずフィルムメーカーにて熱割れ計算を行ってください。 | ||||
※・ サンルックス、サンカットΣと網入板ガラスを用いた合わせガラス・複層ガラス ・ Low-Eガラスと網入板ガラスからなるサンバランス ・ フロート板ガラスと網入板ガラスからなるペアガラス〈技術資料編4-6参照〉 | ||||
![]() |
||||
地震時のガラス破損を防止するための納まり検討
|
||||
地震時の建物の変形(層間変位)によって窓枠が変形する場合、はめ込み枠とガラスとのエッジクリアランスによって変形を吸収して、ガラスの破損を防ぎます。窓枠の変形量に対して十分なエッジクリアランスを確保してください。 〈技術資料編4- 7参照〉 日本建築学会ではエッジクリアランス等の標準的な寸法について、「建築工事標準仕様書17番ガラス工事(JASS17)」に基準を定めています。 〈総合カタログ商品編 第16章「板ガラスの納まり寸法標準」参照〉 また、硬化性パテを用いたグレイジングでは、はめ込み枠とガラスとの変形を拘束して破損の原因となります。弾性シーリング材、またはグレイジングガスケットによるグレイジングをお薦めいたします。 |
||||
雨水などによるガラスの品質低下を防止するための納まり検討
|
||||
網入・線入板ガラス、複層ガラス、合わせガラスを使用される場合には、雨水等による下記の品質低下を防止するため、止水性・排水性が確保できる納まりとしてください。特に、ガラス小口を露出するような納まりや、水抜き孔のないビード、ガスケットの使用は避けてください。 〈第16章「板ガラスの納まり」および各商品の「設計・施工上のご注意」参照〉 | ||||
(1)網入・線入板ガラス→線材が錆びてエッジ強度を低下させ、錆割れや熱割れの原因となります。 (2)複層ガラス→封着材が劣化して中空層内結露の原因となります。 (3)合わせガラス→特殊フィルムが劣化して「シミ」や膜剥離の原因となります。 |
||||
ガラスの加工に関するご注意
|
||||
(1)切り欠き加工、孔明け加工切り欠き・孔明け加工をすると、切り欠きの入り隅部・孔部の強度が著しく低下する場合があります。外力のかかる部位にはご使用にならないでください。やむを得ずご使用になる場合は、強化ガラス・強化合わせガラス等をご使用ください。 (2)フロスト加工 ![]() (3)強化加工、倍強度加工、合わせ加工、複層加工 ガラスの品種によって、加工できないものがあります。 〈テンパライト〉(強化)〈HSライト〉(倍強度)〈ラミセーフ〉(合わせ)〈ペアガラス〉(複層)の各商品ページをご覧ください。 |
||||
その他のご注意
|
||||
(1)水掛かり部分にガラスをご使用になる場合 噴水、浴室、冷却塔周辺など、ガラス表面で水分の濡れと乾燥が繰り返されるような部位に使用しますと、ガラスからの溶出成分と空気中の炭酸ガスが反応固着するなどして、ガラス表面を白濁させてしまいます。固着物を取り除くためには、表面を機械的に研磨するしか方法はなく、状況によっては取れなくなる場合もあります。 (2)ガラスを傾斜面でご使用になる場合 トップライトなどでガラスを傾斜面で使用する場合、夏場日中など太陽高度の高い時間帯の日射が、水平に近い角度で反射した場合、周囲の人の目に入り眩しさを感じさせる可能性があります。太陽の反射光が周囲の建物などに影響を与える場合、設計段階からメーカー、施工業者とも相談の上、周辺の迷惑にならないよう、ご検討いただくようお願いいたします。 なお、AGCアメニテック(株)では、反射光軌跡シミュレーションを有料でお受けいたしております。 〈技術資料編9- 1参照〉 (3)その他の特殊なご使用方法については、その都度安全性をご確認ください。 |
||||
施工上のご注意
|
||||
納まりの確認
|
||||
施工されるガラス品種・呼び厚さに適した納まりになっているかどうか、下記事項に関してご確認をお願いします。〈第16章「板ガラスの納まり」、各商品の「設計・施工上のご注意」、「板ガラスの納まり寸法標準」参照〉 (1)ガラス品種に応じた構法となっているかどうか。 (2)所定のかかりしろ、クリアランスが確保できているかどうか。 (3)セッティングブロック、バックアップ材、シーリング材、グレイジングガスケットなどが適切に選定されているか。 |
||||
採寸・ご発注
|
||||
次のガラスは現場切断が困難なため、正確な寸法で原寸発注をお願いします。強化ガラス、倍強度ガラス、複層ガラス、合わせガラス。 | ||||
切断、面取りなどをされる場合
|
||||
(1)ガラスは、できるだけきれいに切断(クリーンカット)してください。 (2)糸面取りや切り口修正などでサンダーを使用する場合は、#120以上のできるだけ細かい番手のものをご使用ください。また、グラサード用ガラス、高性能熱線反射ガラス、二辺支持のガラスなど、エッジ強度を確保するために特別な面取り加工を施してある製品の小口を損傷してしまった場合の修正は、当該面取り加工と同等の加工が必要となります。 |
||||
はめ込み溝の確認
|
||||
はめ込み溝内部に、ビスなど地震時にガラスエッジに接触する恐れのある突起物がないかどうか、また、水抜き孔が塞がっていないかどうかをご確認ください。 | ||||
養生
|
||||
(1)ガラスに「ガラス注意」などの貼り紙を貼る場合には、マスキングテープなどをご使用ください。でんぷん質系の糊を使用するとガラス表面剥離の原因になりますので避けてください。 (2)ガラスのはめ込み後、吹き付け材などの汚れが付く恐れのある場合には、塩ビシートなどをガラス面に張り付けて養生してください。 (3)ガラスのはめ込み後、溶接火花がかかる恐れのある場合は、薄鋼板または合板などで必ず養生をしてください。溶接火花による傷は補修できません。 |
||||
使用・メンテナンス上のご注意
|
||||
ひび(クラック)の生じたガラスは放置しないでください。
|
||||
ガラスに生じたクラックは、それが小さいものであっても強度を著しく低下させます。 クラックの生じたガラスは、手で軽く押したり、比較的弱い風が吹いただけで破損する事がありますので、放置せずにできるだけ早い時期にガラスをお取り替えになることをお薦めいたします。また、ガラステーブル天板・強化ガラスドアの周辺部などの特殊な面取り加工を施したものを除いて、一般にガラスのエッジ部分は非常に鋭利で危険です。ガラスのお取り替えにあたっては、専門の工事業者様へご用命ください。 |
||||
トップライト等のガラスの上には、絶対に乗らないでください。
|
||||
トップライト等に使用されているガラスは、通常、人体による集中荷重に対する強度検討は実施されていません。例えば、トップライトガラスを清掃する際など、ガラスには絶対に乗らないでください。 | ||||
ガラスの熱割れにご注意ください。
|
||||
次のようなことをすると、ガラスに熱をこもらせて「熱割れ」の原因となります。 | ||||
・ 飛散防止や遮熱・遮光等の機能をもったフィルム等を貼ること ・ ガラス面に密接して物を置いたり、立て掛けたり、衣類、クッション類を干したりすること ・ 段ボール箱などを室内ガラス面に近づけて置くこと(一時的な仮置きも含む) ・ ロッカーやパーティション、家具などをガラス面に近づけて設置すること ・ カーテンやブラインド等をガラスの全面もしくは一部に密接させること(束ねたときも) ・ 冷暖房の吹き出し空気や熱を直接ガラス面に当てたり、強い照明を当てること ・ 窓ガラスに紙などを貼ったり、ペンキなどをぬること ・ 窓ガラスに特殊な影を落とすこと(設計段階で考慮されたものを除く) |
||||
熱線反射ガラスの傷
|
||||
熱線反射ガラスなどのコート面を、硬いものでこすりますと傷になります。一度ついた傷は補修ができませんのでご注意ください。 | ||||
● ガラスの清掃方法について ガラスの清掃方法については、第16章の「板ガラスの汚れと清掃方法」をご参照ください。 ● おことわり ガラス表面のキズ、泡などを含め製品品質についてはJIS規定の範囲内で生産管理されております。規定の範囲内で許容される出現事象についてはガラスの性能に支障ありませんので安心してお使いください。(建築用以外の特殊な用途についてはこの限りではありません) |
||||
次のガラスをご使用になる場合は、特にご注意ください。詳しくは各商品の「ご注意」欄を参照ください。
|
||||
強化ガラス
|
||||
強化ガラス(耐熱強化ガラスを含む)は、一部に破損が起こると応力のバランスがくずれて瞬間に全面破砕します。これにより、ガラスが脱落して開口部が開放状態となることがあります。 また、ガラス表面の傷やガラス中の引張り応力層に残存する不純物の体積変化に起因し、外力が加わっていない状態で不意に破損することがあります。強化ガラス(耐熱強化ガラスを含む)の性質を十分ご理解の上、使用部位をご決定ください。また、必要に応じ、合わせガラス加工・飛散防止フィルム貼付等の飛散防止処理を講じてご使用ください。 〈P213「強化ガラスを安全にお使い頂くために」参照〉 |
||||
倍強度ガラス
|
||||
倍強度ガラスは、ガラス表面の傷やガラス中の引張り応力層に残存する不純物の体積変化に起因し、外力が加わっていない状態で不意に破損する可能性があります。 倍強度ガラスの性質を十分に理解の上、使用部位をご決定ください。 |
||||
網入・線入板ガラス
|
||||
網入・線入板ガラスをご使用になる場合、例えば、エッジを露出して使用したり、排水機構が機能しない等の理由によって、雨水等がガラスエッジ部に滞留すると、エッジ部分の線材を錆びさせ、その体積膨張によってガラスエッジ付近に微少なクラック(ひび割れ)を生じさせることがあります。このクラックは、熱割れの原因になります。網入・線入板ガラスのご使用にあたっては、サッシの排水機構など納まりについて十分ご検討ください。また、グレイジングチャンネルなど、排水が難しい納まりでのご使用は、なるべくお避けください。弊社は、網入・線入板ガラス製品エッジ部全周に防錆処理を施しています。お客様がこれらの製品を切断されてご使用になる場合、切断した全てのガラスエッジ部に防錆処理を必ず施してください。 | ||||
複層ガラス、合わせガラス
|
||||
複層ガラス、合わせガラスを使用される場合には、雨水等による下記の品質低下を防止するため、はめ込み枠下辺に水抜き孔を設けたり、弾性シーリング材によるグレイジングを行うなどして止水性・排水性を確保してください。また、ガラス小口を露出するような納まりは避けてください。 複層ガラス→封着材が劣化して中空層内結露の原因となります。 合わせガラス→特殊フィルムが劣化して「シミ」や膜剥離の原因となります。 |
||||
ミラー・壁装ガラス・装飾ガラス
|
||||
ミラー・壁装ガラス・装飾ガラスの一部などは、内装専用となっています。外装使用した場合、日射によって変退色・剥離・熱割れなどの品質低下を生じることがあります。また、内装に使用する場合でも、直射日光が当たる部分にはなるべくご使用にならないでください。 〈第16章「設計・施工上のご注意」欄参照〉 | ||||
ガラス施工店、販売店の皆様へ
|
||||
(1) 強化ガラスおよび倍強度ガラスの注意すべき性質について、お客様に十分ご説明をお願いいたします。 (2) 使用予定部位をご確認頂き、必要に応じて飛散防止処理をお客様にお薦めして頂くようお願いいたします。 |
||||
|
内装壁面用カラーガラス
ラコベル® マテラック®