木の風景
設計:伊藤立平建築設計事務所文:中崎隆司(建築ジャーナリスト)

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地域資源を見直すことから始まる地域再生。その地域資源である木材の付加価値を高める製材所を生活の場に近づけることによって、地域経済の循環をつくろうとする試み。
伊藤立平氏が手掛けているのは製材業を生業とする4人家族のための住宅とギャラリー・スペースが一体となった施設だ。ギャラリーには住宅で使用する家具や建築物の一部を含む木工品が並び、材料のショールームと製材所のサテライト施設で構成されている。サテライト施設にはレクチャースペース、会議室、ワークスペース、事務室の機能を持たせる。
様々な寸法の規格材を利用した積層壁。使い方、経年変化によって部分更新が可能なその壁は、つくり手と使い手が相互に関わり続けることで少しずつ変化し、関係を重ねていく。
壁は鉄筋の芯材をガイドにして規格材を積層させる。その壁は建築物の架構の一部であると同時に、場所に応じて寸法を変え、日除け、通風、目隠し、棚、家具などにする。規格材は着脱して部分更新が可能であり、物の配置、住み方による模様替えや、経年使用による修理交換を行うことができるようにする。
中崎 隆司(なかさき たかし)
建築ジャーナリスト・生活環境プロデューサー。1952年福岡県生まれ。法政大学社会学部社会学科卒業。生活環境の成熟化をテーマに都市と建築を対象にした取材・執筆、ならびに展覧会、フォーラム、研究会、商品開発などの企画をしている。著書に『建築の幸せ』『ゆるやかにつながる社会-建築家31人にみる新しい空間の様相―』『なぜ無責任な建築と都市をつくる社会が続くのか』『半径一時間以内のまち作事』などがある。
木(もく)の風景
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所在地: | 山口県長門市 |
建築主: | 個人 |
用途: | 製材所(出張所)及び住宅 |
設計: | 伊藤立平建築設計事務所 |
建築面積: | 103.36㎡ |
延べ床面積: | 138.03㎡ |
階数: | 2階 |
主体構造: | 木造 |
工事予定期間: | 2016年1月~5月 |

伊藤 立平 (いとう たっぺい)
1974年神奈川県生まれ。
1998年東京工業大学工学部建築学科卒業。
2000年東京工業大学大学院総合理工学研究科人間環境システム修了。
2000~08年株式会社日建設計。
2008~11年SPACESPACE共同主宰。
2011年~伊藤立平建築設計事務所主宰
http://www.tappeiito.com/