木津川遊歩空間整備事業
設計:岩瀬諒子設計事務所文:中崎隆司(建築ジャーナリスト)

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防災のために埋められた立売堀(いたちぼり)。かつて、日本三大木場のひとつだったこの堀川のにぎわいを取り戻し、人が川とともに生きる空間をつくり出そうというプロジェクト。
岩瀬諒子氏が手掛けているのは川沿いの遊歩空間のデザインだ。2013年に大阪府の河川室と文化課が連携して実施した「木津川遊歩空間デザインアイデアコンペ」で最優秀賞を受賞した。大阪市西区を流れる木津川の松島橋と大渉橋の間の左岸側の240mの遊歩道と、その中間に位置する立売掘(いたちぼり)上面を整備するというプロジェクトだ。対象面積は約3,400㎡になる。
そこで岩瀬氏は「人と水の距離を縮めたい。柔らかい場所をつくり、活気をもう一度この場所に取り戻したい」とアイデアを練った。
堤防で分断された川とまち。「人と水の距離を縮め、まわりとの依存関係をつくり」、様々な居場所と緑を織り交ぜた空間を生み出す。
主なデザインアイテムはプランターと柵だ。プランターは蛇籠のような形態をしている。菱形のフェンス材の縦材を丸棒に代えて溶接したものを使用する。ポーラスコンクリートを使用した植栽升もつくる。柵はつり橋に使われるワイヤーをトップに使い、手すりにする。また散水栓のホースの巻き取り機を置き、人が手入れをしていることを可視化する。
中崎 隆司(なかさき たかし)
建築ジャーナリスト・生活環境プロデューサー。1952年福岡県生まれ。法政大学社会学部社会学科卒業。生活環境の成熟化をテーマに都市と建築を対象にした取材・執筆、ならびに展覧会、フォーラム、研究会、商品開発などの企画をしている。著書に『建築の幸せ』『ゆるやかにつながる社会-建築家31人にみる新しい空間の様相―』『なぜ無責任な建築と都市をつくる社会が続くのか』『半径一時間以内のまち作事』などがある。
木津川遊歩空間整備事業
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所在地: | 大阪府大阪市西区 |
事業主: | 大阪府 |
用途: | 遊歩道/広場 |
設計: | 岩瀬諒子設計事務所 + セントラルコンサルタント |
施工 | 日宝建設工業、関西港湾工業、 テックスバル、他5社 |
整備面積: | 約3,400㎡ |
構造: | 鉄筋コンクリート造 |
工事予定期間: | 2014年3月~2017年3月 (2016年3月 一部併用開始予定) |
助成: | 公益財団法人黒田緑化事業団 中之島にぎわいの森づくり基金 |

岩瀬 諒子 (いわせ りょうこ)
1984 新潟県生まれ
2007 京都大学工学部卒業
2010 京都大学大学院工学研究科修了
2008-2009 EM2N Architekten (スイス、チューリッヒ)
2011-2012 隈研吾建築都市設計事務所
2012-2014 慶應義塾大学理工学部助手
2014- 東京藝術大学美術学部建築科教育研究助手
2015- 京都大学工学部非常勤講師