file.11 アトリウムとフロアの視覚的連続 GLASS&ARCHITECTURE Design Files
case2:第二吉本ビルディング
[オフィス階ファサード] Top
case2:第二吉本ビルディング 第二吉本ビルディング概略 設計者インタビュー
アトリウムの壁面・フェンスを透明化して視覚的な連続性を生む
アトリウムに面した壁面は、エレベータ・ホールもガラスで構成されていてエレベータシャフトを通して視線が通る。このアトリウム周辺には来館者の視線が交錯するよう工夫されている。
DATA
■吹き抜けフェンス ガラス仕様
種別:6階/フロート板ガラス、
   その他の階/強化ガラス
板厚:12ミリ
■エレベータ・ホール ガラス仕様
種別:強化ガラス
板厚:12ミリ
アトリウム見下ろし
アトリウム見下ろし 写真:東出清彦
透明なエレベーターホール壁面
行き先指示ボタンはガラスを
  円形に切り欠いて嵌めこまれている。
写真:東出清彦
 第二吉本ビルの印象的な空間のひとつが、1階から6階を吹き抜けたアトリウム。 低層の商業エリアを縦に貫く大きな軸となっている。 このアトリウムの特徴は、吹抜けを囲むフェンスや壁面がすべてガラスで構成され、アトリウム全体を見渡すことができる点である。 アトリウムには張り出しのエレベータが設置されているが、このエレベータのケージやエレベータ・ホールの壁面でさえガラス面で構成されている。
 内のアクティビティが外に伝わるように外壁を透明化しているこの建築の都市性は内部にもおよび、都市が内部に自然に入りこんでいるような空間となっている。 都市を歩く気持ちのよさを実現する設計上の配慮から、アトリウムを軸として建築内部の視線が抜けてゆくシークエンスがいくつも用意されている。 たとえば地下2階からは地上6階の屋外テラスを通じて青空まで見通せる。 また地下3階の駐車場エレベータ・ホールから、ガラスのエレベータ扉を通じて向かいのヒルトンホテルのファサードを望むこともできる。
 このような視線を確保するために、メイン・アトリウムに面した壁面やフェンスにはすべてガラスが用いられた。 フェンスは上階に行くに従い高さが増し、5、6階ではフェンスではなくフィックスされたガラス壁面となる。
 第二吉本ビルには吹抜けが位置をずらしながら4箇所つくられている。 都市の街路にはある「視線の抜け」をしかけることで、建物の奥にも足を運びたくなるような空間づくりを実現していて、それを透明ガラスが可能にしている。
アトリウム・エレベータ立面図、平面図 アトリウム・エレベータ立面図、平面図。壁面、扉、ケージともにガラスで構成される。エレベータスウィッチはガラスに穴をあけ、取り付けている。
3階アトリウム・フェンス
3階アトリウム・フェンス
アトリウム・エレベータ見上げ
アトリウム・エレベータ見上げ
4階アトリウム・フェンス
4階アトリウム・フェンス
5階アトリウムガラス壁
5階アトリウムガラス壁