case6:横浜ダイヤビルディング GLASS&ARCHITECTURE Design Files
file.24 日本最大の建材一体型太陽光発電パネルがつくる環境配慮ファサード
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概要 基本図面
カーテンウォールタイプの建材一体型太陽光発電パネルによる、CASEBB最高位の評価Sランク取得で、テナントビルのステータスが上がった。
建材一体型太陽光発電パネルが設置された西面を見上げる
建材一体型太陽光発電パネルが設置された西面を見上げる
写真:ヒロ・フォトビルディング


−− 今回、日本最大面積の建材一体型太陽光発電パネルを採用された経緯をお聞かせください。

中村  われわれとして歴史のある土地でのプロジェクトの最後を飾る大規模な建物ですから、横浜でナンバーワンのビルにしたいという気持ちがありました。また、ポートサイド地区の玄関口にあたるので、歩行者ネットワークを整備し賑わいと活力のあるまちづくりに参加したい。そして、会社としても環境への関心が高まってきた時期だったこともあり、なにか自然エネルギーの利用ができないかという話が出てきました。私自身全国の実例を探したのですが、北見信用金庫本店の建材一体型太陽光発電パネルを使ったカーテンウォールを見て、これなら、ガラスの間に太陽電池が入れられる、採光もできるというのを知り、検討を始めました。

濱野  今回は好立地に建つ超高層ビルなので、360度の景色を楽しみ、透明感を出すためにガラスを多用しています。そこへ太陽光発電パネルの提案をいただき、各フロアの設備機器を入れたバルコニー部分、ガラスのカーテンウォールが入ったダブルスキンのところをその設置スペースとして利用できないかと思ったのです。結果的に10階から31階まで、1,530m2という大面積の太陽光発電パネルが使うことができました。定格出力が90kWと、一般住宅の約25倍の発電能力があります。

 

−−  建物の環境性能を格付けするCASBEE(横浜認証制度)で最高位のSランクを取得されました。それは当初から目標とされていたのですか。

中村  いいえ。ただこの場所は多くの人の目につく場所ですから、環境に対する試みをしているという、環境PRを意識したデザインにしたいと考えていました。こうした環境への取り組みはコツコツと地道な努力が必要ですが、Sランクを取りたいと意識し始めてからは、それが大きなモチベーションになりました。

岩崎  テナントビルは、空調や照明など入居者の利用形態に左右される要素が大きいので、CASBEEで高い評価を得るのは難しい。やはり、外壁にこれだけの太陽光発電パネルを使えたことが大きな要因だと思います。


−−  評判はいかがですか。

中村  非常に反響が大きくて驚きました。環境対応型のビルにすることで、建物の価値が上がるというのは発見でしたね。テナントさんもこうしたビルに入居することが社員のステータスになる。また入居する建物を選ぶ際、環境性能の高いビルに入ることがCSR(企業の社会的責任)として求められる時代になってきた。投資採算の数字とは別の価値を感じます。それから、オフィスのエントランスホールには、発電電力や日射強度などをリアルタイムで表示するパネルを設置しました。これはどなたでもご覧になれます。

エントランスホールに置かれた表示パネル
エントランスホールに置かれた表示パネル

立面図
立面図
(着色部分が太陽光発電パネル)