−− 建材一体型太陽光発電パネルの製作や施工についてお話を聞かせてください。
岩崎 ここでは、工場でサッシュとガラスを一体にパネル化し、現場で取り付けてカーテンウォールを構成するユニタイズ工法を採用しました。各モジュールは、まず8枚のセルをハンダで配線します。それを6列、ガラスと中間膜の上で位置決めをして各列を手作業でつなぎ、+極と−極をガラス小口の端子箱に取り出します。今回の納まりではケーブルをサッシュ内に隠蔽できるので、配線が露出せず紫外線にさらされる心配もない。将来的な安全性が高まります。ただ、すべてのケーブルがサッシュ内を通るので、サッシュメーカーとの工程や仕様に関する打合せは大変でした。
濱野 各サッシュの
框
同士が重なって、ひとつの方立になるデザインとしています。ケーブルはメンテナンスできるスペース内にあり、そこを押縁形式にしているので、サッシュのビスをはずすだけで配線などの修理ができます。また施工に関しては、サッシュが完成するまでに輸送の時間があるため、そこで最終的な結線の前にひとつひとつのサッシュの発電量を検査しました。その工程監理については、設計施工のメリットが生きたように思います。
中村 AGCの商品は品質がいいですね。いろいろ見て回ると、合わせガラスのタイプは中が曇ったり汚れたりしたものもありました。今回、これだけの面積でもバラツキがありません。
−− 建材一体型太陽光発電パネルの将来はいかがでしょうか。
濱野 まずたくさん使われて、コストダウンされること。国からの補助金も考えてほしいですが……。
中村 補助金は限界があるので、制度的に継続していくものが望ましいですね。
岩崎 ひとつには、セルのパターンをインテリアとして展開する可能性があります。セルの配列や組み合わせにより、自由なグラフィックパターンが作成可能です。また、他の建材を組み合わせることによっての発展性もあります。たとえば、内側にLEDの光源を設け、膜を張れば光壁のようになります。もうひとつ考えられるのは、建築以外の道路などのインフラに使うことです。
濱野 ふたつの方向があるのではないでしょうか。ひとつは、発電効率をひたすら高めたローコストのユニット。もうひとつは、発電効率は低くても透明なものです。現在のLow-Eガラスを考えると、熱をはね返しているわけですから、それを吸収して少しでも発電するものができないかと思います。
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