ヤマハ銀座ビル概略 Close

銀座通りからの全景。透過率や反射率が異なる4種のガラス
が散りばめられたファサードが、奥行きのある表情を見せる。
写真:鈴木研一
    アントニン・レーモンド設計による1951年築の建物の建て替えで、銀座の中央通りに面した好立地にヤマハの日本におけるフラッグシップとして2010年2月26日にオープンした。地上13階、地下3階の建物は、主に3つのブロックに分かれている。主にショップからなる地下1階から5階の低層部。音響効果を考え抜かれた333席のホールを中心とする地上7階から9階の中層部。そして音楽教室が並ぶ地上10階から12階の高層部だ。ヤマハは音楽関連企業の中では珍しく楽器や楽譜の販売、ホール、音楽教室の運営という3つの業務を手がけている。それらを3ブロックに配し、各機能をファサード側の吹き抜け越しにまとめている。
  世界的な総合楽器メーカーであるヤマハのブランドイメージを建築デザインへと具現化することを目指し、ヤマハより提示されたのは、「伝統と革新の融合」というテーマ。そこで採用されたのが、金箔入り合わせガラスを用いたダイアゴナルグリッドのガラスファサードだ。このファサードはケーブルグリッドという日本では珍しい工法を取っており、さらに日本で初めて金箔を挟み込んだガラスを外装に採用している。建物全体は音や楽器を感じさせる建物となっており、金管楽器とも共通する金箔を用いたファサードと、木管楽器をイメージさせる木を多用した有機的な内装でまとめられている。

ガラスメーカー技術者コメント

  AGC硝子建材(株)東日本ビル営業部
営業開発グループリーダー

三宅秀則

 金箔合わせガラスやケーブルグリッドシステムといった挑戦的な工法に関わることができ、とてもやりがいのある仕事でした。我々営業開発セクションは通常、設計のスタート時しか関わることがないのですが、ここでは現場が始まってからも参画できました。「ヤマハ銀座ビル」には上階まで誰でも入れるので、家族にも詳細を見せることができます。天気や時間帯によって表情が変わるので見応えがあります。午後2時〜3時くらいがきれいですね。