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アーキテクトルーム

■住まいの話題[52]:いい家を手に入れるための「建主の掟」
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自分と同じ価値観の建築家と出逢う

一口に建築家といっても、ひとりひとり価値観も違うし、考え方も違います。これまで私の知人から私のことを「あの建築家はいいよ」と言われて来られる方々の住まいを建てて、成功したためしがありません。

そのため、最近はこうした建主に対して丁寧にお断りしております。来られる方々も何が良いのか分からないまま、知人の紹介だからということで違和感のあるままに話が進み、こちらも知人の紹介ということで価値観を埋められずに対応し、「あら、こんなはずではなかったわ!」で終わってしまうのです。

こんな方もいます。金にものをいわせて「建主ズラをする」人です。デザインする側からすれば、建主との話し合いで出来上がるはずのデザインコンセプトを、突然、「金は出すから俺の言うことを聞け!」となってしまいます。

建主の価値観や生活感を理解し、設計条件を全て満たしながらデザインにつなげることが、建築家の仕事のノウハウです。それを快く受け入れながら議論することで、両者の理想の家が出来るわけです。それには「お互いにウマの合う関係」が必要ではないでしょうか。そこで初めて、信頼関係が生まれるはずです。

最後の最後に文句を言うのは禁物
打ち合わせが何事もなく始まり、建設段階になってもあまり意見がなく、設計に対して不満も出ずに進んできたので、喜んでいただいているのかと思っていたら、竣工間際になってご主人からぽつりと一言、「こんなはずじゃなかった!」。これは私にとっても建主にとっても一番つらいことだと思います。なぜそうなったのか。理由は、実権を奥様に握られ、ご主人は仕事が忙しいなどで打ち合わせや現場に来られず、意見があっても奥様に任せっきりにしている間に、建物が完成してしまったからです。
建主が満足した家の例(外観)
建主が満足した家の例(内部)

設計や建設の途中で信頼関係にヒビが入りかけると、「知人の建築家が言うには・・・」とか「隣の建設会社のご主人と話したところ・・・」などのことが出てきます。建主の気持ちはよく分かります。第三者に聞いてみたくなるのも当然だと思います。ただあくまでも、その場合はアドバイス程度にしてください。建築家に対して信頼をなくしたのであればその限りではありませんが。

でも、一度信頼関係が出来ると、建築家は無茶苦茶な注文をつけられながらも色々な解決策を見つけ出していきます。ウルサイと思われる建主ほど、最後には文句を全く言わず、喜んでいただけることが多いのも事実です。ですから、中途半端に妥協せず納得のいくまで建築家と話し合うことが、家族全員の夢を満たす「いい家を手に入れる」秘訣だと思います。

住まい方が悪いと、あっという間にボロ家に!

今まで多くの建主の希望に応えてきました。極めつけとしては「子供を天才にして欲しい」「汚れなくて、いつまでも綺麗な家にして欲しい」というのがあります。私もそんな家が出来るなら欲しいものです。

住まいは建てた時から様々なことが始まります。そこには住む人の努力が必要です。ハードとしての「家」は建築家が造ります。ソフトとしての「家庭」は家族の方々が造り上げるものです。住まい方が悪いと「家」はすぐにボロボロとなってしまいます。

無理して家を造ったことで、離婚したり家庭崩壊につながる可能性もあります。また、十数年間子供が出来なかったのが、家を建てたことで子宝に恵まれたという幸運な方もおられます。その意味で、建築家はあくまでも器を造るだけです。それを価値観や生活感で美しく磨き込んでいくのは、住まい手自身の役割だと思います。

住まいの話題[52]執筆者
■山口 明宏(やまぐち あきひろ)/ (株)アスデザインアソシエイツ


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