Javascript is disabled.


アーキテクトルーム

■住まいの話題[179]:施主の権利、建築家の義務
画像をクリックすると大きなサイズで見ることができます。
家を「建てる」方法

家を持つには様々な方法があります。建売を買う、ハウスメーカーの商品を買う、中古を買う、建築家(建築士)に設計を依頼して建てる。この中で唯一家を「建てる」のが、建築家に設計を依頼する方法であると考えています。

最近では、一般雑誌に「建築家と建てた家」などと題し特集が組まれることも多く、以前はちょっと敷居の高かった注文住宅(建築家に設計を依頼する方法)も身近でカジュアルなものになりました。それに伴って建築家も若手を中心にカジュアル化しました。その結果、一昔前は少数の建築主と建築家の間で行われていた注文住宅という方式の家造りが、少しずつ世間に広がり始めました。

注文住宅と設計者の関係
一般的になりつつある注文住宅ですが、注文住宅とは何なのでしょう? 簡単に表現するならば、自分(家族)に一番マッチした住宅の設計を建築家に依頼し、その設計図に従って施工者に家を建ててもらい、設計図通りに工事されているかを建築家にチェックしてもらうという一連の行為を言います。このように、建築家は施主の代理人として、設計から工事完成まで家造りの全てを見守ります。

では、建築家とはどのような人種なのでしょうか。実際には「建築家」という資格は存在しません。設計を行うために必要なのは「建築士」という資格です。しかし多くの設計者は「建築家」と名乗り「建築士」とは名乗りません。建築家と自称する人達は都市文化を担う仕事であると自負しているので、建築士とは区別しているようです。ですから、ハウスメーカーや建売住宅の設計者は建築家と名乗りません。
施主と建てた家1:
施主は叔父の絵を飾る空間にこだわった
施主と建てた家2:
施主は外部と内部が連続する中庭にこだわった

実際に建築家に設計を依頼した場合はどうでしょう。高名な建築家の場合はどの程度の水準の家が完成するかは想像できます。それなりに文化レベルの高い作品(?)に仕上がることは間違いないでしょう。しかし、あまり施主の言うことを聞いてくれないかもしれません。一方、カジュアル化した建築家はどうでしょうか。若年層であるため実績も少なく、完成する家の水準がどのレベルかは、家ができてみなければわかりません。しかし、あなたの家のために全身全霊を注ぎ込んでくれるでしょう。どちらが良いか、それは施主の考え方次第ということです。

権利と義務が生じる
注文住宅の定義については前述した通りですが、権利義務の関係で見るとどうなるのでしょうか。簡単に言うとこうです。「施主は建築家に対して家の設計を依頼し、建築家は施主の望む家の設計をする」。ここで重要なのは、建築基準法の遵守、予算に合わせた設計、期待されるデザイン能力など、専門家としての高度な能力が建築家に要求されることです。つまり、建築家は施主の欲求に答える義務があり、施主はそれを要求する権利を持ちます。

また、権利義務はどちらか一方が有利にできているわけではありません。施主は設計に対して報酬を支払う義務があり、建築家は報酬を請求する権利があるのです。堅苦しいと思うかもしれませんが、施主の話を聞かない建築家や、通常ではありえない難癖をつけて報酬を支払わない施主の問題を、これまで法廷で数多く見てきました。その経験から、権利と義務の関係を、施主と建築家双方が理解しておくことは大変重要であると感じています。
でも、ご安心!

しかし安心してください。多くの建築家は良心的です。設計を依頼する前に建築家を十分観察し信頼したのであれば、ハウスメーカーの家を買うよりも満足できることは明らかです。設計をお願いするのでもなく、設計をさせていただくのでもない。施主と建築家が「家造りの同志」という関係を持てることができれば、あなたの家造りは成功したのも同然です。

住まいの話題[179]執筆者
■川崎 修一(かわさき しゅういち)/ (有)川崎建築計画事務所


ページTOPへ