アーキテクトルーム

■住まいの話題[198]:ロウコスト/ロウロード
画像をクリックすると大きなサイズで見ることができます。
いま考えていること
最近、ある相談がありました。「海近くの敷地に"小さなカフェ+住宅"を建てたいんだけど、予算は¥○△×(書きませんが!)で出来ないだろうか? ただし、施工や資材の調達は自分でやれるところは自分でやるし・・・」というものでした。(超)がつくロウコストな案件なのですが、ロケーションが魅力的だったことと、私も似たようなことを(金額も含めて)ちょうど考えていたので、前向きに考えて行きましょうということになり、現在進行中です。

(超)ロウコストの案件の場合、通常の設計・計画上の手法の他に、(1)コストを解体してロスを少なくして組み直すこと、(2)工事やモノの仕入れや発注方法を見直すこと、(3)工程や各専門工事を統合・整理しなければならないことなど、かなり細かく絡めてデザインを展開していかなければいけません。それプラス、施主さんに手間がかかることを強いるような点も、必ず発生します。

そんなやり方は、私がいくつかやっているリノベーション・コンバージョンのやり方とかなり共通する点が多いと感じます。また今回も同様なのですが、建物の使い方も店鋪の併用住宅やそれに近いものばかりだったので、施主さんの動機づけや気構えも共通しているのではないかと考えました。
共通だったこと
いままで係わったそんな人達に共通していると思われる点を、いくつか挙げてみます。

(1)自分が動くことを厭わない――工事費のかなりの部分が人件費であるということを実感しているのか、古い工場をカフェにする仕事のときの施主さんは、たくさんあった漏水部分を全部止め、塗装も自分達でほとんどやってしまいました。高所の作業も多かったので、現場で入る保険に加入してもらいました。
割烹料理店をガレージ+住宅に 工場をカフェに
(2)優先順位がぶれない――何をやりたいかということが非常に明確で強いという意味で、料理店を"住宅+ガレージ"にしたときの施主さんは、コストダウンの際に「サイアク、フロなくてもいいや」と私を驚かせました。彼は、楽しめるスペースがたくさんあることが一番大事だったのだと思います。結局、フロは付きましたが。

(3)真空パックしたようなきれいさは求めていなくて、どちらかというと大きなボリュームやドライで硬質なイメージを好む――歯科医院の全面改修のときの打ち合わせで、天井も床も全部剥がしてあらわしにし、一部床を抜いて吹き抜けをつくりたいというアイデアが、先生の最初の言葉だったと記憶しています。

(4)廃棄物をあまり出さないこと――みなさん、スクラップ&ビルドには懐疑的でした。お金も掛かるということはあるにせよ、トラック20台とかで自分の出す廃材を運ぶ様は、かなりかっこわるいという思いはあったようです。
何がすてきか?

みなさん、個人事業主的な人達なのでより意識的にクリアーなのですが、「住宅建設」をひとつの事業と考えると、イニシャルを落して、+(プラス)パフォーマンスのよいデザインを考えることは、当然だと思います。それらをより強く意識することがあたらしい「美学」を見せているのかなと感じています。ロウコストにしてもリノベーションにしても、落差のあるようなところは見隠れするのですが、色とかカタチとかだけではなく、そこに積み重なっている時間をみつけだすことや、個人として環境にあまり負荷をかけないことに、スタイルを感じるようになってきているのかも知れません。

うまくいけば2005年の秋頃には、ちいさなカフェができると思います。奥さんがピザを焼くそうです。家から近いので、通おうかな。

住まいの話題[198]執筆者
■若林 秀和(わかばやし ひでかず)/ tai_tai STUDIO