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アーキテクトルーム

■住まいの話題[543]:心地良さ
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お花見の際、シートをどこに広げようか決める時、はたまたカフェに入り席を選ぶ時って、どこに座れば気持ちいいかなぁと考えます。この時まわりを見渡し、「ここしかない」といわんばかりに瞬時に決め、席を確保する。すごい決断力と行動力ですよね。(妥協する時もありますし、そんなに探求しないという意見もあるでしょうが。)

こんなところでも、何気なく自分の居心地良さを求めているのだと思います。では、この心地良さは、どんな要素が含まれると満足するのでしょうか? 人によっても微妙に異なる心地良さの要素。一方で、誰にも共通するであろう普遍的な要素もあると思います。そんなことを考えながら、住み心地の良さをほんの少し考えてみました。
ひとつ屋根の下という感じ
大きすぎもせず小さすぎもせず、家族にとってちょうどよい大きさで、家族の気配がなんとなく伝わる家には安堵(あんど)感があります。けんかして顔も見たくない時もあるけれど、おおらかに開放された空間は、家族のつながりが感じられ、「仲良くすれば?」とやさしく言ってくれている気さえします。

実際の設計では、家族に適した大きさで、空間の構成をできるだけシンプルに考えています。内部建具は可能な限り天井高さ一杯の引き戸にします。季節の良い時期は、全部開放するとワンルームのようになり、風や光が家族の気配を運ぶ家となるからです。雑音として聞こえていた台所から聞こえる包丁の音、お風呂場からの鼻歌、・・・音にでない気配まで、ひとつ屋根の下という「安心感」になっていると思いませんか。
全開した寝室、子供部屋、
廊下兼用スタディスペース。
雨上がり、奥の米杉の塀に
しずくが並んで輝くそうです。
自宅では、寝室と子供部屋と廊下兼用スタディスペースと玄関を、造り付けの家具と引き戸で仕切っています(写真左)。全体のボリュームに限りがあるので、心地よい空間を共有しあうという考えです。変幻自在な楽しい空間で、開放すると気持ちがいいのです。四方向から通り抜ける風や時間と共に変わる光のさしこみ具合、それぞれの窓から見える樹木の変化で季節を感じながら生活できるのです。
自分の居場所

フレキシブルな空間は、前もって考えもしなかったような使い方を、生活の中で発見させてくれます。そういうところに、住まいの楽しさがひそんでいます。また、個室を並べた住まいと比較して、「心地良さの発見」を家族と共有している感があるような気がします。住んでいて飽きのこない家だと思います。

いいことづくしのようですが、機嫌の悪い時だってあるわけで、避難できる場所もどこかに欲しいものです。避難だけのスペースではありませんが、家族一人ひとりのお気に入りの場所があると、もっともっと心地がいいと思えるのではないでしょうか。心がやすまる場所、好きなことに没頭できる所、・・・そんな自分の居場所が家の中にちゃんとあると、自分の家らしくなります。

「うちとそと」(写真右)では、居間の一部に、庭を眺めながら好きな絵を描く場所をつくっています。居間の一角に机を置いただけのお気に入りの場所です。「雨上がり、木の塀に雨のしずくが一列に並ぶ時がきれい」と宝物を探し当てたように喜んでいました。

住み始めてからのいろいろな発見って、ワクワクするじゃありませんか!

住まいの話題[543]執筆者
■中野 健(なかの たけし)/ なかの一級建築士事務所


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