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アーキテクトルーム

■住まいの話題[569]:設計者の活用術
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家を建てるとき、まず・・・
建主さんと接していると、本当に千差万別、いろんな方がいて、様々な考えがあると感じます。

自分の望む住まいについて明確な意向があり、絶対に実現したい項目から、可能ならしたいなという項目まで優先順位をつけている人もいれば、何となくこんな感じがいいんだけれど・・・というイメージのみの人もいます。

家を建てるとき、大切なのはどんな家を望んでいるのか、自分自身の中でまず整理してみることだと思います。人それぞれ、いろいろなカタチがあるでしょう。構造に主眼をおきたい人がいれば、室内環境に力を注ぐ人もいるでしょう。素材にこだわる人もいるだろうし、雰囲気や外観・内観に重きをおく人もいるでしょう。

同時に、これからどんな生活をしたいか、今はどんな生活をしているかを見つめ直すことも大切だと思います。リビングが何畳、個室は何畳をいくつということよりも、日頃の生活パターンを思い起こしてみたり、どんな場所が好きで、何をしている時間が好きかを考えたり、現在の住まいの不満なところや不都合なところを考えてみたり、どんなテイストが好きなのか具体的に写真や場所を挙げてみたり・・・と。また、大きな枠組と現実的な問題点に少々想いを馳せてみるのも良いのでは。

設計者とタッグを組んで家をつくるとき、そんなことを設計者に伝えて、共有していくことがミソじゃないかと思う。「こんなこと・・・」と思うことでも、設計者にとってはその人を理解する要素が多く含まれています。

建築ってホント手づくりなんです。規定の枠の中でしかつくれないやり方もあるけれど、設計者とタッグを組んでつくっていく場合は、ある中から選ぶのではなく、多くのことを一から決めていくことができます。制限がない訳じゃないけれど、やろうとすれば意外に何でもできる。だから、何をしたいかが重要になってくるのです。
現場で色決めをしたサーモンピンクの左官壁 緩やかに区切られた堀座卓のある書斎スペース
設計者には想像することの好きな性質がひそんでいて、そういった情報を与えると喜び勇んで、建主さんひとりひとりのストーリーを頭の中でつくりあげていきます。少なくとも私はそうなんですが・・・。設計者にとっては取り組む建物のひとつひとつが新鮮なんです。住宅はけっして設計者の理想を押し付けるものではなく、住む人それぞれの形があり、それぞれの方にフィットした住まいをつくっていくべきだと思います。

でも、建主さんがこうしたいと言ったからといって、要求がそのまま受け入れられるとは限りません。こうした方があなたにとってもっとベストなのでは?とプロの立場で考え提案します。それが設計者の務めだと考えているからです。
竣工した!その後・・・
住宅は竣工時が最良の姿なのではなく、住む人によって育てられていくものだと思います。

住みたての家は新しくて綺麗だけれど、まだ肌になじんでいない、よそよそしさを感じます。家は人が住み、換気し、掃除しないと、とたんにさびれていってしまいます。生活して手を入れていくことで熟成し、味わいが出てきます。木の床は歩くことによって磨かれ、庭の植栽は時を経て周りの風景に馴染んでいきます。

それと、メンテナンスフリーという言葉があるけれど、私はメンテナンスをしなくてもいいとは思っていません。ステンレスだってその名のとおり、錆びにくいけれど錆びない訳ではない。雨ざらしで置いておけば錆びるし、プラスチックだって紫外線に当たれば劣化していく。

家も、かなり手を掛けなければならないのは大変だけれど、多少の面倒を見ていくことは必要だと思います。傷つくものだからこそ、大切に扱うし、大切に扱うからこそ、愛着もわいてくるのではないでしょうか。住んでから長い年月が経っても、変わらず丁寧に使われている家を拝見すると、幸せを感じると同時に、住まわれている建主さん自身、とても素敵だなーと感じさせられます。
住まいの話題[569]執筆者
■菰田 晶(こもだ あき)/ (有)菰田建築設計事務所



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