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アーキテクトルーム

■住まいの話題[611]:新築とリノベーション
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現状を分析する
私の事務所では常に新築とリノベーションの案件を同時に進行しています。

「新築とリノベーションで何か変えていますか?」「何が違うのですか?」という質問をたまに受けるのですが、設計の思考プロセスは、特に違ったアプローチ方法を取っているということは無く、どちらの場合においても、現状(新築であれば敷地条件/リノベーションにおいては既存躯体や設備の条件)を分析するところから始まり、あらゆる可能性を考え提案を行っていきます。

ただ、何も無いところに新しく造る案件と、既存の物を壊したり生かしたりしながら計画を進めることを同時進行していると、新築においてもリノベーションにおいても、いろいろな想いが頭をよぎります。

新築においては、もしかしたら将来、リフォームとかリノベーションをしたいという事態になった場合、対応できるフレームワークをこの家は持っているのだろうか? ということをよく考えるようになりました。たとえば木造の住宅では、ほぼ全ての壁と柱が家にとって重要な構造体となっている場合、将来の間取り変更の際、いろいろ制限を受ける可能性が出てきます。実際、自分が設計した建物を誰か(若しくは自分)が大々的にリノベーションする際、融通が利かないフレームだったら・・・と考えると、お客様は僕のことを呪ったり恨んだりするんじゃないだろうか、とふと思ったりもします。

一方、リノベーションにおいて(特にマンションの場合)はコンクリート構造のフレームが多いので、内部のプランニングはかなり自由です。また、リノベーションして再生するという明確な回答をそのポイントで証明できるので、今後内部のプログラム(家族構成や住まい方)に変化が起きた場合でも、再度リノベーションすることは可能性の一つとして明確にイメージできます。そのため、しっかりしたフレームの中でのリフォーム・リノベーションの場合は、将来的な拡張性という点よりも、現状の改善という点に重きを置いて計画している気がします。
Y-HOUSE:外観(上左)、
家型木造フレーム図(上右)、内観(下)
K-Reform:
内観(上・下左)、アクソメ図(下左)
では、新築とリノベーションにおいて、具体的にどのような工夫を試みているかの例を以下に紹介します。
新築:しっかりしたフレームを造る
木造住宅の新築の場合は、流動的な将来に対応するためしっかりとしたフレームを造ることを心掛けています。木造の場合は内部の各部屋の間仕切り壁を構造壁として計算に載せるのが一般的ですが、「Y-HOUSE」では木造ラーメンという構造を採用しています。家型の木造フレームを並べることで、家の構造を形成させています。これによって内部の間取りは自由になり、将来の変更にも対応できる強固なフレームを造り出しています。
リノベーション:内部構成を柔軟にする
マンションのリノベーションである「K-Reform」では、計画時点で若い夫婦+小さいお子様という家族構成でした。引き渡し段階ではお子様の部屋はまだ必要ないということもあり、住戸をほぼワンルーム状にして徐々に家具などで場を造り、将来的には各自が部屋を持てるように計画しています。子供がもう一人増えるという予定でしたので、部屋造りを容易にするため、電気のスイッチ類を予定される部屋の位置に合わせて全て別々にするなど今後の対応をしっかりと考え、現状に即したベストな間取りとなるように配慮しています。

お客様の要望にもよるのですが、私は「とても堅くてとても柔らかい物を造りたいな・造れたら良いな・・・」と思っています。そのためには、住宅内で起こる様々な変化に柔軟に対応できる内部と、それをしっかりと包み込む強固なフレームを生み出すことが求められます。そこでは、素材的な面だけでなく、概念的な面がより重要と考えています。
住まいの話題[611]執筆者
■川上 堅次(かわかみ けんじ)/ エトラ(株)



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