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アーキテクトルーム

■住まいの話題[612]:住宅の環境性能とCASBEEの評価
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CASBEEとは
CASBEEとは建築の環境性能、つまり建築の「エコ度」を評価するシステムのことで、2007年にはCASBEEすまい「戸建て」が発表され、現在住宅業界にも普及しはじめています。海外ではBREEM(英国)やLEED(北米)といった建築の環境性能を評価するシステムが一般化していますが、日本ではまだ馴染みが薄く、その存在さえ知らない人も少なくありません。筆者は2009年にCASBEE戸建て評価員の資格を取得し、日々の設計業務の中でCASBEEの評価を取り入れながら、設計した住宅の「エコ度」を数値で示すように努めています。
社会資本としての住宅
戦後日本の住宅の寿命は20年~30年と言われており、今まで住宅を社会的資産として考える土壌はほとんどないに等しい状況でした。住宅は個人の財産であると同時に街や風土を形成する社会資産として、その価値にも目を向ける必要があります。周りの環境に配慮することや、時代の変化に耐えられるすまいを提案することで、品質の高い住宅を社会の資産としてストックしていくことが期待できます。
ライフサイクルCO2を視覚化する
CASBEE評価を行うとライフサイクルCO2の発生率を数値で知ることができます。住宅を造ってから壊されるまでのCO2の発生量をある程度予測し、自分が設計した住宅が設計努力によって何%削減できるかの目安を知ることができるのです。当社では設計段階からこの評価ツールを使って施主にプレゼンを行っています。最近では高性能な断熱材や窓ガラス、エコ設備などの導入を希望する施主も多くなり、それらを組み込むことでどの程度CO2が削減できるのかを示す上で、この評価システムが役に立ちます。性能データの視覚化は大きな金額を投入する施主にとってよい判断材料になります。
CASBEEで評価した住宅 CASBEEの評価書見本
快適さをイメージする
建築計画学では快適さは温度・湿度・気流の動き・着衣の量によって決まると言われています。設計者が施主に「快適さ」を説明するとき、このことを持ち出すことはほとんどありません。特に設計段階においては視覚的なイメージはある程度伝わりますが、「快適さ」についてはなかなか伝わりにくいものです。CASBEEでは自然エネルギー(光や風)を利用することで、室内の快適さや、省エネ効果を予め想定することができます。このデータを使うことで施主はある程度具体的な「快適さ」をイメージすることができます。
自然エネルギーを利用する
CASBEEの評価内容は6分野からなる54項目に分かれています。その内容は住宅性能評価や長期優良住宅の内容にもリンクしていますが、快適さと省エネの関係を知ることができる点はCASBEEの独特なところです。室内の快適さを構築する上で断熱性能や設備効率も重要な要素となりますが、自然のエネルギーを利用する設計手法が大きなウェートを占めます。日射を遮蔽する庇の効果や、通風で涼をとる自然換気、冬は太陽光を取り入れて暖かさを維持する方法、庭に樹木を植えることで外の熱を遮る効果など、パッシブな発想が環境性能として良い評価につながる点は、設計者として頷けることも多くあります。
個人と社会の利益の両立
CASBEEは評価マニュアルとツールを使えば誰でも自己評価をすることが可能です。公に使用するには評価員の資格が必要ですが、評価ツールはIBECのホームページから無償で手に入れることができるため、今後普及していく可能性は大きいと思われます。CASBEEを利用する最大のメリットは環境性能評価というフィルターを通して「施主の利益」と「社会の利益」の両立をイメージできる点にあります。これからは「環境性能」に対してもインフォームド・コンセントが必要となる時代です。CASBEEをそれらに役立つ1つの道具として今後も利用していきたいと考えています。
住まいの話題[612]執筆者
■坪井 一代(つぼい かずよ)/ 坪井当貴建築設計事務所



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