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アーキテクトルーム

■住まいの話題[696]:住まいの森つくり
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自然を豊かにするデザイン
都市化が進むにつれ、森林面積が減り、里山の風景が失われていっています。現代人には都市化で便利な生活を求めたいと思う一方、身近な緑を残しておきたいという願いもあります。一般的に建築という行為は森を削り、人間の利便性を追求して人工物を建ててきました。生態系という視点に立って見た時、森の中では様々な生物が棲息し、お互いかかわり合いながら多くのものを生み出しています。一方、砂漠の中では均一な環境の中で、生産性は低いものとなっています。都市はというと、自然の生産性は砂漠並みです。都市化するということは砂漠化するということになります。

人間は自然の一部であり、自然の恵みによって生きています。自然なくしては人間は生きてゆくことが出来ません。この点を都市に住んでいると忘れてしまいがちです。実は自然が豊かである程、人間も住みやすい環境となってゆきます。都市化が進み、砂漠化を進めるのでなく、これからの建築には人間の利便性を満たすとともに、自然を豊かにするデザインが必要となってきます。
建築のモチーフは森

今まで建築に光や風などの自然を取り入れることは行われてきましたが、それだけでは自然を豊かにすることにはなりません。建築に土や植物を導入し、建築をつくることによって多くの種類の生命が生きてゆける環境をつくるのが、これからの持続可能な社会を実現するために求められているデザインであると考えられます。

カミオプロジェクト:
建築と自然が融合した持続可能な場づくり
都心での屋上ハーブガーデン:
食べられる森づくりの試み
その豊かな自然のモデルは森です。20世紀、ル・コルビュジェは機械をモチーフに建築をデザインしました。21世紀になった今、建築のモチーフは森なのではないかと思います。森は地球の誕生以来、長い年月をかけてつくられてきた自然のデザインです。森の中では実に多くの動植物がお互いつながりを持ちながら絶妙のバランスで生命を育んでいます。森は生命を育むのに最も適した環境と言えます。また、森にはCO2吸収、水源涵養、土砂流失防止、癒し、など様々な機能があります。森を観察すると、森からは合理性、循環性、多様性、多重性など自然のデザインを学ぶことが出来ます。
カミオプロジェクト
これからの建築家はもっと森を知らなければならないと思います。都市で生まれ育ち、自然とあまり馴染みのない建築家はカッコはいいけど、砂漠化を促進するような建物をつくってしまいがちです。自然に学び自然を豊かにするデザインという視点を持ってゆきたいと思います。自然を学ぶには自然と関わることが一番です。

私たちは数年前からカミオプロジェクトという森林整備のプロジェクトを進めています。敷地には手入れのなされていないヒノキ林があり、このヒノキを間伐して手入れをし、その材木を使って敷地内で利用する小屋をデザインし製作することによって、人の手が入らず荒れてしまっている森を元気にすることを目指しています。また敷地全体をヒノキ林から果樹、木の実、イチゴなど多様な植生をもった食べられる森にすることも試みています。将来的には自然と建築が融合した美しい庭園のような環境になることを夢見ています。
屋上庭園プロジェクト
森から自然のデザインを学び、それらを都市での住宅や建築デザインにも生かしてゆこうと思っています。多様な環境をつくると、その環境に適応した多様な植物が生育することができます。出来るだけ土を有効に活用することが大切です。鳥の目から見た時、なるべく多くの緑が見えるように可能なかぎり屋上庭園を提案しています。

つまり建物をつくると緑が増えるような建築です。屋上庭園にも断熱効果、保水効果、食料自給、ガーデニング、癒し、コミュニティづくりなど様々な機能があります。緑豊かな環境が増えることで住まいの森と呼べる環境が広がってゆくことを願っています。
住まいの話題[696]執筆者
■北村 淳(きたむら じゅん)/ 北村淳建築設計事務所



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