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アーキテクトルーム

■住まいの話題[720]:バランス感覚
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建築のもつ可能性と遍性性とのバランス
「建築の力と可能性を信じたい…」そんな想いを胸に自らの事務所を設立しました。窶ィ建築には人々の暮らしや社会をより豊かにするだけの力と可能性があると信じて、仕事に取り組んでいます。早いもので独立して13年がすぎ、手がけた建物は60を超える数になりました。施主が違えば、与条件も違う、それぞれに違いや特殊な要素が出てきます。要望の把握と整理、プラン、構造、材料、性能や機能、ディテール、コスト…、設計の各段階でいろいろな事柄を検討します。その際に、常に必ず共通して考えるテーマがあります。それは「バランス」です。

建築がもつ可能性を追求する一方で、ある程度の「普遍性」をもった建物をつくりたいと考えているのです。
ライフスタイルの実現と資産価値とのバランス
住宅であれば理想とするライフスタイルを反映した「器としての建築」を目指しています。施主や家族にとってより良い建物を実現したいと考える訳です。そのときに、言われなくても将来の変化にも柔軟に対応でき、リフォームすれば使い続けられるように、更にはいざというときには売却して買い手がつくようにと、あまり特殊解に偏り過ぎないように「資産価値」としてのバランスも考えて提案しています。

公共建築はもちろん、住宅も個人の所有物といえども社会のストックであり、次世代への資産だという側面があります。これからは長期に渡って使われることを前提にした建築が、持続可能な社会の実現に向けて求められます。あまりに特殊な建物は所有者が世代交代できず、資産価値の棄損にもつながります。もちろん、特殊な条件の敷地や時代の変化からくる特殊な与条件を新しい発想や技術を用いて解決し、新しい価値を創造することが必要とされるケースを拒むものではありません。
篠原の家:開放感とプライバシー、
性能とコストをバランスさせた
大場町の家:開口部からの見えかたと
見られかたをバランスさせた
自由の権利と社会性とのバランス
建築はまちなみを構成するひとつの要素でもあり、よっぽど広大な敷地でない限り、道行く人からも見えてしまいます。そこで、少なくとも見た目的には世間の大多数の人が嫌悪感をいだかないように、まちなみとのバランスにも気を使いたいものです。合法だから金をだすオレの自由だとあまりにも奇抜すぎる家を建てずに、上品で節度あるデザインを心がけたいものです。
フィルターとシェルターの役割、開放感とプライバシーのバランス
例えば、窓には季節や必要に応じて光や陽当たり、眺望や通風などを室内に取り入れながら、夏の暑さや冬の冷気、害虫をカットするフィルターとしての機能を持っています。さらに建物全体としては、不審者や外敵の侵入、自然災害から身を守るといったシェルターとしての根源的な性能を求められます。

ガラスの技術や性能が発達し、明るい家、開放的な家を求められることが多いのですが、見え過ぎ、見られ過ぎ、まぶし過ぎ、暑過ぎ、寒過ぎ、無防備過ぎ…、と行き過ぎないように気を遣います。安全性を確保した上で、適度なバランスがないと落ち着かないし、快適性も損なわれてしまいます。家の中が丸見えでも構わない人もいるかもしれませんが、むしろ、見たくない人がいることにも配慮しないといけません。
コストと性能とのバランス
ほとんどの場合で予算に限りがあります。結局のところ、「できるだけ安全で快適、使い勝手に優れ、見た目が良く、愛着のわく建物を、なるべく安く手に入れたい」というのが、施主の共通した願望ではないでしょうか。しかし、その方法や答えはひとつではありませんし、数値化が困難な好みや価値観などの要素も大きく影響します。

機能や性能、デザインに対するコスト配分を高い次元でバランスさせ、自分自身がより良いと思える提案や適切なアドバイスや判断を通して、ちょうど良さを提供することが、施主のみなさんや社会に求められていて、私がお役にたてることなのかなと思うのです。
住まいの話題[720]執筆者
■中村 高淑(なかむら たかよし)/ (株)中村高淑建築設計事務所



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