AGCグループの環境への取り組み

AGCグループの環境方針

AGCグループは、多量の資源・エネルギーを使用する事業を営んでおり、グループビジョン “Look Beyond” の私たちの価値観の一つとして「環境(エンバイロンメント)」を定め、行動します。
私たちは、限りある資源・エネルギーを有効に使い、気候変動並びに生物多様性を含む自然環境への影響に配慮し、素材・部材のグローバル優良企業として、持続可能な社会づくりに貢献していきます。

地球、社会、そして経済。豊かさの両立を目指して
Your Dreams, Our Challenge

AGCグループ環境方針

2001年2月9日制定、2023年1月1日改定

私たちは、バリューチェーン全フェーズで「脱炭素社会」、「資源循環社会」、「自然共生社会」構築への貢献を通じ、社会と自社のサステナビリティを実現します。

  1. 1.脱炭素社会、資源循環社会、自然共生社会の構築に貢献するために、AGCグループのサステナビリティ目標に基づいた環境目標を設定し、達成に努め、またその向上を目指します。
  2. 2.サステナビリティ、およびバリューチェーン全体を考慮した製品・技術・サービス・設備の開発と社会への提供に努め、革新的ソリューションで時代の変化に対応します。
  3. 3.環境マネジメントシステムに基づく継続的改善に努めます。
  4. 4.環境に関するグループ内外のルールを守り、汚染予防等に努め、環境保護に貢献します。

基本的な考え方

企業による環境問題解決やグリーン社会実現への取り組みがますます重要となる中、私たちの社会的責任を認識し、社会とともに持続的に発展する企業を目指すために、環境への取り組みを経営における最重要課題の一つと位置付けています。

AGCグループのすべての事業活動および社会活動を貫く企業理念であるグループビジョン “Look Beyond” は、 「私たちの使命」、「私たちの価値観」、「私たちのスピリット」の3要素で構成し、「私たちの価値観」には「善き地球市民として、自然との調和を目指し、持続可能な社会づくりに貢献します。」という強い意志を込めています。

こうした企業理念に基づき、世界中の拠点での法令遵守を原点として、事業活動を通じて生じるあらゆる環境負荷の最小化と、製品を通じた環境影響の抑制の両面から環境経営を捉え、積極的な活動を実施しています。

主要事業であるガラスおよび化学品の製造プロセスではその製造工程で比較的多くのエネルギーや資源を使用することにより地球環境に与えるインパクトが大きいこと、一方でAGCグループの製品はエコガラスによる省エネ、排水・排ガス処理に使われる製品による水および大気保全への貢献、 PVC(ポリ塩化ビニル)など社会インフラの基盤を担うことを踏まえ、自社環境インパクトの最小化と同時に製品を通じた地球環境問題解決に最大限貢献します。

これらを踏まえ、調達から製造・販売・物流・使用・廃棄に至るまでのすべての事業活動フェーズでの取り組みを通じて、持続的な地球環境および事業経営を実現することを宣言した「AGCグループ環境基本方針」を制定しています。

AGCグループの環境目標

2050年にカーボン・ネットゼロ目標とマイルストーン

マテリアリティへの取り組み、事業活動を通じて創出したい5つの社会的価値を実現するため、気候変動に関する目標はGHG排出量(Scope1,2,3)をKPIとしています。Scope1+2については、2050年までにカーボン・ネットゼロを目指すこと、そのマイルストーンとして2030年までにGHG排出量30%削減およびGHG排出量売上高原単位50%削減(いずれも2019年比)を掲げています。

Scope3については、カテゴリ1、10、11、12を対象とし、2030年までに2019年比30%削減、また、カテゴリ1およびカテゴリ3GHG排出量の50%を占めるサプライヤーにSBT水準並みの目標設定を促すエンゲージメント目標を設定しています。今後はこのSBT認定取得に向けて取り組んでいきます。

また、AGCの製品や技術を活かし社会全体のカーボン・ネットゼロ実現に貢献することを目指しています。

2020年以前は、2014年に「2020年に年間GHG排出量(Scope1+2)の6倍を省エネ・創エネ製品で削減することを目指す」というGHG排出量削減スローガンを設定していました。

また、GHG排出量削減に加え、水使用量、カレット使用量を管理指標とし、その実績や取り組みの効果を毎年モニタリングし、分析しています。

低炭素社会や環境負荷低減に貢献する製品の開発・提供と並行して、サステナブルな社会の実現に向けたルール形成への取り組みも進めています。例えば、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)*1を実現するための方法論について、ISO(国際標準化機構)における技術仕様書の発行に貢献しました。ISOにおけるサーキュラーエコノミーの標準化では、製品のリサイクル性などといった循環性に関わる指標やルールを開発し、資源の有効活用に貢献しています。IEC(国際電気標準会議)では、削減貢献量*2の標準化を進め、製品ライフサイクル全体を通じてGHG削減に貢献するためのルール形成を行っています。

低炭素社会への貢献に関連するSDGs目標(7、12、13)に分類*3される保有特許*4は595件(2022年6月時点)であり、AGC全保有特許の約10%を占めます。

  • *1 ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング):消費する一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物
  • *2 環境負荷の削減効果を持つ評価対象製品のライフサイクル全体において、当製品による温室効果ガス排出量の削減分を定量化したもの
  • *3 保有特許のSDGs目標ごとの分類は、LexisNexis社の特許解析ツール「PatentSight」により実施
  • *4 登録済みおよび登録手続き中の特許(ファミリ-)を指す
2050年にカーボン・ネットゼロ

2021年に中長期の GHG 削減目標を策定
国際的な気候変動のイニシアチブである SBTi による SBT認定を取得(2022年12月)。

気候変動関連のイニシアチブなどに対する署名・宣言

AGCは、以下の国際イニシアチブへ署名・参加しています。

TCFDロゴ

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言

CDPロゴ

2022年CDP Climate Change
A評価取得

気候変動イニシアティブ(JCI)

WWFジャパン法人会員

経団連生物多様性宣言イニシアチブ

クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)

企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)

気候変動関連の機会

社会全体のGHG排出量削減への貢献はAGCグループにとっての事業機会としても捉えており、使用段階のGHG排出量削減に貢献する製品の開発・普及を推進しています。ガラス事業では、エコガラス等最終製品使用時におけるエネルギー使用量を削減できる製品需要が今後ますます見込まれ、使用段階での省エネにつながるガラス製造技術の開発、真空断熱ガラスなど環境対応型製品の売上拡大を図っています。

化学品事業では、地球温暖化係数(GWP)が低い環境対応型新冷媒の需要増が見込まれ、「冷媒や溶剤としての性能はそのままに、GWPを大幅に低減」をコンセプトとして、オゾン層破壊係数(ODP)をほぼゼロ、GWPを1以下に低減した次世代冷媒・溶剤「AMOLEA®」等の普及への注力を通じて社会全体のGHG排出量削減に貢献しています。

また、井戸水の脱塩・脱窒素を行い、飲料水の製造に用いるイオン交換膜「セレミオン®」をはじめ、気候変動に伴う影響の低減に貢献する商品の開発・普及に取り組んでいます。

さらには、環境・エネルギー事業として水素や再生可能エネルギー普及に貢献する製品の開発・普及にも取り組んでいます。一例として、次世代モビリティである燃料電池車(FCV)の発電システム用部材である燃料電池用フッ素系電解質ポリマーは高発電性能と耐久性を両立しています。このように、環境・エネルギー領域での技術開発・事業展開をコア事業・戦略事業の双方において加速します。