ガラスの豆知識VOL.12 結露について

今回のガラスの豆知識は、これからの季節の窓における最大の悩み事、『結露』についての解説です。

朝起きてカーテンを開けると、
窓一面についた水滴を目にしてウンザリ…。
冬場に毎朝、窓拭きをするのが
日課になっている主婦の方も少なく無いようです。
結露は、外気温が低くなることによって、
窓ガラスの室内側表面温度が下がり、
室内の湿気が水滴になって付着するものです。
家の中の湿度が一定だとしたら、表面温度が
ある温度以下に低くなった場所 に、結露は発生します。
断熱性が低くて外の冷たさが伝わりやすく、表面温度が低くなりやすいところ…通常の家の場合、
それが窓ガラスであるケースが大半で、『窓は、建物の熱の逃げ道』などと言われたりします。
では、ガラスは、そもそも熱を伝えやすい物質なのでしょうか?

物質の熱の伝わりやすさは、
『熱伝導率』で表されます。
左の表は、各種建材の熱伝導率を示したもので、
数値が小さいほど熱を伝えにくく、
断熱性能が高い性質を持っています。
断熱材として使われるグラスウールや、
気泡だらけのALC、木材や樹脂の数値が
小さいことは容易に想像できると思いますが、
意外にも、ガラスは鉄やコンクリートよりも
熱伝導率が低く、熱を伝えにくい物質であることが
わかります。
では、時おり見かけるコンクリート打ち放しの住宅。
このような建物でも、一般的には、
窓ガラスが先に結露するはずです。
ガラスの方が、冷たさを伝えにくいのに…何故?
それは、使われる厚さに原因があります。コンクリートの壁は厚さが10cm以上。
これに対して単板で使われるガラスは5ミリ程度で、約20倍の厚さの差があります。
いくらガラスの熱伝導がコンクリートよりも低いといっても、たったの5ミリでは、
あっという間に外の冷たさが伝わってしまいます。
例えば、コンクリートと同じ厚さ10cmのガラスを使ったら、外の冷たさの伝わりが小さいので、
ガラスの方が表面温度が高くなって、コンクリートに結露するのかもしれません
(とは言っても、厚さ10cmのガラスなんて重すぎるし、濃い緑色になってしまうので、
そんなの現実には無理…)。

壁は、光や視線を通さなくて良いので、空気をたっぷりと含んだ厚い材料を使えば、
断熱性は確保されます。
しかし、開口部であるガラスには、「採光」や「透視」が求められます。
厚くしたり、ALCのように気泡を混ぜ込むと、ガラスの特徴である「採光」や「透視」が満足できないし、
強度も高いので厚くする必要性も無い。
では、薄い厚さのまま、断熱性能を上げるにはどうしたらよいか…
そこで、2枚のガラスで空気を封じ込んで一体にした『ペアガラス』が考えられたのです。



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