ガラスの豆知識VOL.6 遮音と窓ガラス2 - 音その2

前号に引き続き、『遮音と窓ガラス』の解説をお届けします。
今回は、用語の説明が主になるので、少々難しい気もしますが、
ガラスの遮音を語る上で、どれも欠かせない内容ばかりです。

ガラスの遮音性能は、
『透過損失(デシベル:dB)』で表します。

遮音とは、ある材料の一方の側の音を、
もう一方の側へ伝えないようにすること。
遮音性能は、材料を透過したときに減衰する音の量で示します。
これを『透過損失』と呼び、単位は「デシベル(dB)」で表します。
ガラスの遮音性能も『透過損失』で表されますが、
ガラス特有の性質として、以下の「質量則」「コインシデンス効果」「低音域 共鳴透過」
という現象があります。

●質量則
板ガラスのように単一の材料は、
周波数と重量に関係する「質量則」によって、
単位面積あたりの 重量が大きく、
また周波数が高くなるほど透過損失が増加します。
同じ重量(板厚)なら、高い周波数(高音域)のほうが
遮音効果は大きく、同じ騒音に対しては、ガラスの厚さを
増すほど、大きな遮音効果が得られます。
●コインシデンス効果
板ガラスのような、均質で単一の板状材料では、特定の
周波数域で、透過損失の低下が起きる現象が生じます。
これを「コインシデンス効果」と呼び、板厚が薄いときは
高音域に生じ、厚くなるにつれて中音域に下ってきます。 ガラスのコインシデンス限界周波数は、
以下の式で簡易的に 表されます(気温15℃のとき)。

●低音域共鳴透過
複層ガラスのような二重構造の場合には、単板ガラス同士が中空層の空気をバネにして
共鳴が生じ、低音域において、透過損失の低下する周波数域があります。

以上から、一般的なガラスの遮音特性は、

  1. 高い周波数の音ほど遮る、また、厚いガラスほど音を遮る … 質量則
  2. 特定の周波数の音が抜ける(板厚によって抜ける周波数が違う)… コインシデンス効果
  3. 複層ガラスでは低音域の音が抜ける(2枚のガラスの共鳴が原因)… 低音域共鳴透過

と言えることが分かります。
騒音は、色々な周波数の音が混ざっている場合が大半ですが、
それぞれの周波数特性に適した ガラスを選択することが、遮音対策のポイントと言えるでしょう。



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