松之山温泉景観整備計画
設計:蘆田暢人建築設計事務所文:中崎隆司(建築ジャーナリスト)

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ランドスケープや公共施設の整備から観光地の活性化をめざした温泉街の景観整備計画。その狙いは、地域特性を活かした観光とまちづくりを融合させること。
蘆田暢人氏が手掛けているのは温泉街の景観整備計画である。
その温泉街は日本三大薬湯のひとつである松之山温泉だ。新潟県十日町市の山あいにあり、住民は住みながら温泉旅館や飲食店などを営んでいる。
パイロットプランとして設計された融雪システムの機械室。デザインモチーフは、この地方の特徴的なデザインボキャブラリーである「雪囲い」だった。
そして温泉街の中に設置された融雪システムの機械室を景観計画の最初のパイロットプランと位置付けてデザインしている。その構造は内外の2重になっており、雪の側圧に耐える外側の構造体は柱・梁の構造体と越後杉の足場板で構成している。越後杉の足場板を並べた外観はこの地域の特徴的なデザインボキャボラリーである「雪囲い」をモチーフにしたデザインであり、景観整備計画の見本としている。
「まずは公共空間を整備する。また地域特性を活かした観光とまちづくりの融合のプロセスをつくるためのワークショップを行っている。関係をつくり、流れをつくっている」(蘆田氏)
「建築家は技術者であるが、人に近い立場におり、その仕事は人に対して価値を与えることだ。建築家は人と技術を統合できる」(蘆田氏)。
中崎 隆司(なかさき たかし)
建築ジャーナリスト・生活環境プロデューサー。1952年福岡県生まれ。法政大学社会学部社会学科卒業。生活環境の成熟化をテーマに都市と建築を対象にした取材・執筆、ならびに展覧会、フォーラム、研究会、商品開発などの企画をしている。著書に『建築の幸せ』『ゆるやかにつながる社会-建築家31人にみる新しい空間の様相―』『なぜ無責任な建築と都市をつくる社会が続くのか』『半径一時間以内のまち作事』などがある。
松之山温泉景観整備計画
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所在地: | 新潟県十日町市松之山温泉 |
事業主: | 松之山温泉組合 |
用途: | 温泉街の景観整備 |
工事予定期間: | 平成26年~平成30年 |

蘆田 暢人 (あしだ まさと)
1975年 京都市生まれ
1998年 京都大学工学部建築学科卒業
2001年 京都大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程修了
2001~11年 内藤廣建築設計事務所
2012年 蘆田暢人建築設計事務所 設立
2012年 ENERGY MEET 設立
2016年 これからの建築士賞