いこうファームのキッチン・ラウンジ
設計:PEA.../落合建築設計事務所文:中崎隆司(建築ジャーナリスト)

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箱(建物)をつくることプラスアルファで、人と人、人とまちのつながり方を模索する実験的プロジェクト。
PEA.../落合建築設計事務所の落合正行氏が手掛けているのは貸農園のコモンスペースだ。計画地は東京都足立区にある。以前、周辺は農地が広がっていたが、現在は沿線開発で宅地化され、人口が増えている。
集合住宅内のコモンスペース、敷地内に設けた貸農園は、人が地域と関わるための仕掛け。プライベートな場所をパブリックに開けば、暮らしの中の満足度は上がる。
次に手掛けている自宅のある敷地を対象にしたプロジェクトは「いこうファームのキッチン・ラウンジ」と名付けられている。敷地の周辺はマンションや賃貸アパートなどが建っているが、神社などもあり、ゆったりとした環境にある。そこでクライアントは敷地内の元ビニルハウスだった場所を樹木や目立たない柵で仕切り、44区画からなる体験型の貸農園にした。周辺に積極的に開くとともに景色としてどう見えるかを重視したのである。それに合わせて有機農法を取り入れている。
「人が減っている時代に合った暮らしの中の満足度を上げる方法が必要になっている。自分から出向いて知り合うのではなく、自己紹介をする感覚で自分から開く。住宅に余地をつくり、自由に使える場所にする。そこに水回りがあれば一緒に食事をするなど滞在時間が長くなる。 プライベートな場所をパブリックに開くと満足度は上がっていく」。
中崎 隆司(なかさき たかし)
建築ジャーナリスト・生活環境プロデューサー。1952年福岡県生まれ。法政大学社会学部社会学科卒業。生活環境の成熟化をテーマに都市と建築を対象にした取材・執筆、ならびに展覧会、フォーラム、研究会、商品開発などの企画をしている。著書に『建築の幸せ』『ゆるやかにつながる社会-建築家31人にみる新しい空間の様相―』『なぜ無責任な建築と都市をつくる社会が続くのか』『半径一時間以内のまち作事』などがある。
いこうファームのキッチン・ラウンジ
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所在地: | 東京都足立区伊興 |
用途: | 共用施設および住宅 |
設計: | PEA.../落合建築設計事務所 |
建築面積: | 33.64㎡ |
延床面積: | 64.37㎡ |
階数: | 地上2階 |
主体構造: | 木造 |
工事予定期間: | 未定 |

落合 正行 (おちあい まさゆき)
1980年 三重県生まれ。
2005年日本大学大学院理工学研究科建築学専攻修士課程修了後、株式会社山中新太郎建築設計事務所を経て、2011年PEA.../落合建築設計事務所設立。2014年より日本大学理工学部まちづくり工学科で助手を務める。2016年「第2回これからの建築士賞」を受賞。