Case 23:

まちなかのラーニングスペース

設計:Uo.A
文:中崎隆司(建築ジャーナリスト)

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一定の要件を満たせば、誰でも土地を買って家が建てられる「市街地縁辺集落制度」を利用した「ラーニングスペース」併設の兼用住宅プロジェクト。

Uo.Aの魚谷剛紀氏が手掛けているのは「ラーニングスペース」を併設した兼用住宅だ。計画地は静岡県浜松市の郊外にある。当初、30代後半のクライアントの要望は「料理教室とダンス教室を始めたい」という内容だった。しかし広い敷地が見つかり、「住宅も併設したい」ということになった。

この計画地は市街地縁辺集落制度が適用されている区域内にある。市街化調整区域の市街地縁辺集落内で敷地面積や道路幅員、下水道利用などの一定の要件を満たせば誰でも専用住宅や兼用住宅、共同住宅を建築できるという制度だ。ただ開発行為は禁止されており、宅地造成はできない。
敷地条件が特殊である。市街地縁辺集落の敷地面積の要件は200㎡以上500㎡未満だ。このプロジェクトの敷地も約330㎡ある。2項道路に接しているが、その2項道路が完成しておらず道路として認められていない。だが、セットバックは要求されている。また道路として認められていないことによって旗竿形状の敷地になってしまうのだが、市街地縁辺集落の制度では旗竿形状の敷地は認められていない。専用住宅の場合、接道幅は3m以上、専用住宅以外の場合は立地基準になる道路に原則6m以上接しなければならない。
「用途地域が行政によって決められ、要件を示される。都市計画を読み解いて制度にのせていき、要件の中にある可能性を見せたいと思った」(魚谷氏)。

人が集まる場所をつくり、その使い方を示すことによって、区域内に影響がより波及するような状況が生まれることを目指す。

計画地周辺は200㎡、300㎡の敷地に60㎡、70㎡の住宅が建っている。それゆえ敷地の余白が生まれている。
「このプロジェクトの場合、敷地が広いので教室を行う時に駐車スペースが確保できる。ダンス教室の観客席にすることもできるだろう。また敷地の一部を畑にして、料理教室の食材を育てることもできそうだ。人が集まる基地的な空間にしようと考えている」(魚谷氏)。

敷地の一番奥に兼用住宅を配置している。木造2階建て延べ床面積は約133㎡であり、そのうちの「ラーニングスペース」の部分の面積は約24㎡だ。「ラーニングスペース」は2棟に挟まれる形で中央に配置されており、開放的なつくりになっている。その両サイドに設けた動線ゾーンをバッファーゾーンにしてプライベートなスペースは2階の両端に配置している。

「住宅の一部を暫定的に何かに使おうというのではなく、そこを使いながら周辺の空間の可能性まで見えるようにすることを考えたい。接道に対して大きな受けを取るように建物を配置し、人が集まることができるスペースをつくり、様々なものが溢れている状況をつくりたいと考えている」(魚谷氏)。
「ラーニングスペース」をつくることで、人が集まるだけではなく周辺も影響を受けるような状況が生まれることを狙っている。場所をシェアするだけではなく使い方を示すことで、影響がより波及するような状況をつくろうとしているのだ。このプロジェクトのような敷地の使い方を示すことで、将来、縁辺集落地域が解除されることになった後も、景観やつながりを新しい入居者が配慮することも期待している。

まちなかのラーニングスペース
設計: Uo.A
構造設計: 片岡構造
建築主: 個人
所在地: 静岡県浜松市
用途: 教室(集会所)兼用住宅
敷地面積: 330.28㎡
建築面積: 68.28㎡
延床面積: 133.28㎡
主体構造: 木造
完成予定時期: 2016年12月
魚谷 剛紀

魚谷 剛紀 (うおたに たけのり)
1979年 富山県生まれ
2003年 愛知工業大学大学院修了
2003年 宮本佳明建築設計事務所
2011年 Uo.A設立
2012年~ 摂南大学、大阪工業技術専門学校非常勤講師