TOD'S表参道のファサード・ガラスには躯体とのとりあいに細い目地がまわっているだけで、
ポイント支持するメタルや辺で支持するサッシが見あたらない。
このガラスの支持には外からは見えないアクロバティックな仕掛けが施されているのだ。
それはシーリングストラクチュア。
シールの接着力で荷重を受けるこの構法は30 年近く前から施工されている。
たとえばリブガラスをシリコーンで面ガラスに接着し、
面ガラスの荷重をリブに伝えて支持する「グラサード」という構法がある。
ファサードにメタルの支持材を露出させたくない意匠上の理由からこの構法がとられたが、
ここではそのリブさえ使っていない。
仕掛けはガラス面の背後のエッジ部分に設置されたアルミの細いフレームにある。
このフレームの中にガラスの小片をレール状に嵌め込み、
この小片ガラスとファサードのガラス面を構造シリコーンで接着している。
ガラスを接着力で支持する場合、強度上ガラス同士を接着することが必要になってくるからだ。
リブガラスの接着技術が応用され、リブの代わりにアルミの型材が荷重を躯体に伝えている。
ただし、非常時の脱落を防止する安全装置として、脱落防止ピースを設置している。
これは、外側合わせガラスの小口にステンレスのピースを挿入し、これをフレームに固定している。
ステンレス・ピースのプレートは合わせガラスの間に挟み込ませていて、
このプレートの厚み+1.5ミリ程度の厚みが保てるよう中間膜の枚数を選定している。
ガラスの厚みを通して見たこのプレートの色彩は目地色と同等になるよう調整を繰り返した。
そこまで支持材の存在感を抑えている意匠なので、目地幅は8~11ミリの細さに抑えている。
また、内側ガラスは枠納まり。
かかりやエッジクリアランスを極限に追い込んで、見つけを15ミリに抑えた。
構造体が免震構造であり、変形追従性能に関して大きな制約を受けなかった為実現できた意匠ともいえる。
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