file.18 ダブルスキン内部の結露防止 GLASS&ARCHITECTURE Design Files
case4:TOD'S表参道ビル
[階段室] Top
TOD'S表参道ビル基本図面 TOD'S表参道ビル概略
密閉型ダブルスキン内部の結露を防止するパッシブ/アクティブ手法
ダブルスキンの多くは内部の空気交換を行うことで結露防止をする。しかしこのダブルスキンは密閉型でしかもペアガラスの使用もない。そのような場合の結露防止の秘策を紹介。

 TOD'S表参道の外壁開口部は合わせガラスと単板のフロートガラスで構成されたダブルスキン。 このダブルスキンは密閉型であり、内部の結露防止は大きな課題だった。 素材や施工方法などすべてにおいて結露対策を検討した。
 シールの品種には比較的透湿抵抗の高いものを選定した。 ディテールの組み方も細心の注意を払った。 ガラスの納まりだけではない。 躯体のコンクリート面からの湿度流入も問題となりうる。 ダブルスキン内部の躯体面の塗装は、透湿抵抗の高い塗料を使用し、仕上げ材は、調湿性を考慮して選定された。 施工時の温度条件、湿度条件の管理も細かく調整。 そこまで行っても不測の施工条件や経年変化を考慮すると、結露の可能性を完全に否定することはできない。
 そこでアクティブな空気環流の仕掛けを施した。 開口部1 箇所につき直径10ミリ程度の何本かのチューブをあらかじめ躯体施工時に設置し、強制換気が可能なシステムを構築している。 複数の開口から延びたチューブはまとめられて点検口に集約。 チューブにはナンバリングがなされていて、必要なものを選び、コンプレッサーに接続すると強制換気ができる仕組みだ。 閉店時に作動させるなど、フロア営業のプログラムと合わせて運用される。 低騒音用コンプレッサーを使用することなど細かな配慮も行っている。

  Photo: Nacasa & Partners inc