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地球とガラス
公開日 2026.07.06

資源循環への道

資源循環への道

リサイクルというと何を思い浮かべますか?

リサイクルというと、鉄やアルミ、瓶ガラス、PETボトルなど身近にあるものを思い起こされるかもしれません。素材によってどのようなリサイクルのされ方をしているのかはいずれお話するとして、先ずはどんな種類のリサイクルがあるのか考えてみましょう。

リサイクルにも色々ある

リサイクルの種類には、古着からデザイン性のある例えばバッグのような別のものを作ることより価値のある提案をするアップサイクル、原料に戻して同じものを作る水平リサイクル(同じものとしてグルグル回るのでクローズド・ループとも呼びます)、それから質・価値の低下を伴って別のものにするダウンサイクル(上から下へという意味でカスケードとも言います)とがあります。

また、どのようにリサイクルするかの区分として、粉砕などして再製品化するマテリアルリサイクル、化学的に分解して原料に戻すケミカルリサイクル、そして焼却することによって熱エネルギーとして利用するサーマルリサイクルというものがあります。

ガラスを例にとると、昭和の古い模様の入った型板ガラスを窓ではない高級インテリアパネルとして使うのであればアップサイクル、建築物の解体現場から出た廃ガラスをきれいなカレット原料として溶融してもう1回ガラスを作るのは水平リサイクル、異物が除去されないような粉々にされたガラスを道路の路盤材にするのがダウンサイクルです。水平もダウンサイクルも廃ガラスを粉々にして再使用するのでマテリアルリサイクルに相当します。

循環するということ

私たちの身の回りにある板ガラスは、その役目を終えるとほとんどが埋立処分されています。これを社会の仕組みとして考えると、一方的に消費され廃棄されるリニアエコノミー(線形経済)と捉えることができます。ガラスに限らず、多くの製品が大量に生産され、大量に廃棄されるリニアエコノミーで私たちの社会は今まで成長してきました。

リサイクルするということも、同様に大きなスケールで考えると、資財がグルグルと回る循環経済、サーキュラーエコノミーという概念で捉えることができます。あらゆる段階で資源の効率的・循環的な利用を図りつつ、付加価値の最大化を目指す社会経済システムです。実は、この言葉が広く使われるようになったのはそんなに昔のことではなく、2010年9月にエレン・マッカーサー財団が設立され、そこがサーキュラーエコノミーという理念を訴えたのがきっかけと言われています。EUでは2015年、日本でも2020年に政策の中にこの考え方が組み込まれてきました。

<令和7年版 環境・循環型社会・生物多様性白書>

廃ガラスはどこで生まれるのか

さて、板ガラスはどこで廃ガラスになるのでしょうか。
ガラスの一生の様々なステージでガラスは廃ガラスとなりますが、その生まれる場所によって呼び方も取り扱いも変わってきます。

実は、板ガラスを作っている工場内でも、余分な部分を切り落としたり、製品規格に達しない部分を廃棄しています。この廃ガラスは内部カレットと呼びます。これは未だ製品になっていないので、リサイクルとは分類されず、再び溶かされて使われる時は未製品の再原料投入となります。

いったん板ガラス工場から出荷された後に、廃ガラスとなって戻ってくるものは外部カレットになります。建築や自動車用のガラスを加工する工場で、端材として出たり加工不良となったものがその一つです。板ガラス工場からは出ていますが、消費者の手にわたっていないので、プレ・コンシューマーカレットと分類されます。加工工場の歩留まりは良いのであまりたくさんの量は出ません。

最後に、窓ガラスや自動車ガラスに使われて、建築物や自動車が解体される時に出てくる廃ガラスを、消費者が使った後なのでポスト・コンシューマーカレットと分類します。この廃ガラスが、現在は、ほとんど埋め立てにされています。年間50万トンとも言われ、日本の年間板ガラス生産量の約4割に相当します。

悩みの多い廃ガラスの再利用

内部カレットもプレ・コンシューマーカレットも言ってみればガラスのプロが扱っているため、良い状態で保管・搬送されるので、そのまま原料として扱っても品質上の心配はほとんどありません。発生する場所も決まっているので、回収にも大きな問題は発生しません。

一番ボリュームゾーンのポスト・コンシューマーカレットを回収し、原料として消費するまでには様々な課題があります。建築物にしても、自動車にしても、ガラスには複層構造にしたり枠に固定するさまざまな化学物質だったり、複層ガラスのアルミ部材だったり、また自動車ガラスのように黒くプリントされていたりフィルムを挟んだ合わせガラスだったりします。これらを上手く剥がしたり分離することも手間がかかりますが、そもそも建築物を解体する時に陶磁器屑や瓦礫といった他の素材とごっちゃになってしまうことがとても多いです。

さらに、ポスト・コンシューマーの廃ガラスが発生するのは全国各地の建築解体現場や自動車解体工場で、しかも1か所当たりの量がさほど多くないため、カレットを回収するための物流コストが大きな問題となります。

廃ガラスは、いったんダウンサイクルされ、路盤材や断熱材になってしまうと、もう板ガラスとしては再生できなくなってしまいます。 輸入される天然原料を使わずにガラスを作ることができるのに、もったいないことです。建築物や自動車の窓からガラスを取りはずしたり、カレットから異物を選別する事業者さんと協力しながら、この二つの課題を解決し、水平リサイクルするべく試行錯誤を続けています。ガラスはリサイクルによって品質が変わらないため、半永久的に繰り返し作ることができます。

新しい廃ガラスの出現、それも大量に

今までなかった種類のポストコンシューマーカレットの出現も予見されています。太陽光発電パネルのカバーガラスです。パネルは、あの紫色のシリコンセルを守るために強化ガラスで覆っています。2012年に始まった再生エネルギー固定価格買い取り(FIT)制度導入を機に大量に設置された発電パネルは約20年でその役割を終えていきます。これが一気に廃棄され始めるのは社会にとって大きな負担です。パネルは、アルミフレーム、ガラス、封止材、太陽電池セル、銀、銅とさまざまな物質で構成されており、それぞれをリサイクルすることで廃棄量を少なくしなければなりません。

太陽光発電パネルでは、ガラスがピッタリと発電セルに接着保護しているだけでなく、パネルを構成する銅や銀などの金属があるので、きれいな廃ガラスだけを取り出すのは容易でありません。2030年代には一気に年20万トン近くのガラスが廃棄されると言われています。発電パネルから金属だけを回収するのであれば、ガラスやシリコンセルを割ってしまえば可能なのですが、これではガラスは水平リサイクルできません。パネルの重量の6割以上を占めるガラスが廃棄物となってしまうことは埋め立てを少なくする観点からも見過ごすわけにはいきません。ガラスも再資源化するべく、パネルのリサイクル業者さんと協力して、来る大量廃棄に備えています。

出典:環境省作成「太陽光発電設備の廃棄・リサイクルをめぐる状況
及び論点について」

この発電パネルのカバーガラスには、建築や自動車用のガラスにはない成分が含まれていて、別の問題もはらんでいます。

都市鉱山の開発に挑む

枯渇する資源、余裕が無くなりつつある埋立地を前に、リサイクルは大きな可能性を持っています。水平リサイクルすることで、日本の中で資源が何度もグルグルと循環するようになると社会は持続的になります。この言わば都市鉱山の開発に、建物や太陽光発電パネルの所有者、解体する事業者、リサイクルや選別を行う事業者、物流事業者、廃棄物が生まれる地方自治体と多くの方々と手を携えて挑んでいきます。

ガラスの水平リサイクルは、温室効果ガスの排出も抑制できるのですが、次はこの話を致しましょう。


著者:ミライヲテラス編集部

AGC建築ガラス アジアカンパニーでマーケティングのお仕事をしているチーム。
窓ガラスなど光をコントロールする建築ガラス製品が、人間のココロやカラダに大きく関連し、人の活動や行動にも影響を与えることを知り、調査を開始。
知れば知るほど、この情報を建築に関わる、建築に興味がある全ての人に伝えたい思いが強くなり、「ミライヲテラス」を開設。

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