鮎川浜の番屋
設計:萬代基介建築設計事務所文:中崎隆司(建築ジャーナリスト)

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漁師の作業場兼休憩所である「番屋」が、漁業と観光をつなぐ復興拠点となる。漁師の独立の尊重と恊働の拡張をめざした新しい空間の試み。
今後、日本の社会は少子高齢化が加速し人口は急減していく。東日本大震災で被災した地域はこの課題に加え、突然、居場所を失うという現実に向き合った。復興のためには人の居場所や集まる場所、一緒に仕事をする場所をつくらなければならない。
開かれた建物にすることによって、かつての漁港の風景を取り戻すとともに、使い手が手を加えられる余地を残し、新しい風景の創造を促す。
直径65mmの柱に支えられた、25mm角の鉄骨を井桁に組んだメッシュ状の均質な白い梁が目を引く。その大きさは約15m×35mである。その下に様々な活動の場所をつくるために光の透過率の異なる簡易な屋根を散らばらせて載せている。梁の高さは2200mm~2800mmであり、片勾配になっている。高さはフォークリフトの高さから決めているが、人は台に乗ると梁に届き、魚やわかめを干すなどのことができる。
中崎 隆司(なかさき たかし)
建築ジャーナリスト・生活環境プロデューサー。1952年福岡県生まれ。法政大学社会学部社会学科卒業。生活環境の成熟化をテーマに都市と建築を対象にした取材・執筆、ならびに展覧会、フォーラム、研究会、商品開発などの企画をしている。著書に『建築の幸せ』『ゆるやかにつながる社会-建築家31人にみる新しい空間の様相―』『なぜ無責任な建築と都市をつくる社会が続くのか』『半径一時間以内のまち作事』などがある。
鮎川浜の番屋
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所在地: | 宮城県石巻市 |
発注主: | 牡鹿漁業協同組合 |
設計: | 萬代基介建築設計事務所 |
構造設計: | 佐藤淳構造設計事務所 |
設備設計: | EOS plus |
運営: | 牡鹿漁業協同組合 |
運営補助: | 一般社団法人つむぎや |
工事予定期間: | 2015年7月~2015年10月 |
主体構造: | 鉄骨造1階 |
建築面積: | 519㎡ |
延床面積: | 230㎡ |
助成: | 日本財団 他 |

萬代 基介 (まんだい もとすけ)
1980年 神奈川県生まれ
2003年 東京大学工学部建築学科卒業
2005年 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了
2005~11年 石上純也建築設計事務所在籍
2012年 萬代基介建築設計事務所設立
2012~15年 横浜国立大学大学院Y-GSA設計助手
DSA空間デザイン大賞、JCDデザインアワード金賞他受賞多数
http://mndi.net