小枕地区集会所
喜多裕事務所+木内建築計画事務所+田中雅之建築設計事務所文:中崎隆司(建築ジャーナリスト)

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東日本大震災で大きな被害を受けた大槌町の復興計画。土木・街区計画の段階から住民との話し合いを積み重ね、その総意を汲み取り設計を組み立てる。
喜多裕氏、木内俊克氏、田中雅之氏の3氏が手掛けているのは岩手県大槌町で進む東日本大震災の復興計画だ。
大切なのは住民の暮らしのイメージを読みとること。
集会所も海に正対して配置している。海を臨む広場との関係を重視して配置やアクセスの方向などを決めており、ふらっと立ち寄れる土間を囲むように、集会室や和室、調理室、屋外テラスで構成している。
「建物とまちの時間の長さは違う。時間が経ってもゆるぎない構造を住民の総意からあぶりだして紡いで計画の骨格とする。いちばん大事なベースを計画のあらゆる過程で共有するために、私たちの作業も一役かえたのではないかと思う」(田中氏)。
「コモンスペースは以前からそこにあったように見えるが、地道な 話し合いの積み上げの成果だ。計画段階でコミュニケーションができているかで建築のつくり方は変わっていく。暮らしのイメージに関しても、最初から関わっているから読める空気があり、それが大事であることを学んだ」(木内氏)。
中崎 隆司(なかさき たかし)
建築ジャーナリスト・生活環境プロデューサー。1952年福岡県生まれ。法政大学社会学部社会学科卒業。生活環境の成熟化をテーマに都市と建築を対象にした取材・執筆、ならびに展覧会、フォーラム、研究会、商品開発などの企画をしている。著書に『建築の幸せ』『ゆるやかにつながる社会-建築家31人にみる新しい空間の様相―』『なぜ無責任な建築と都市をつくる社会が続くのか』『半径一時間以内のまち作事』などがある。
小枕地区集会所
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所在地: | 岩手県上閉伊郡大槌町小鎚第28地割字間渡153-135 |
設計: | 喜多裕事務所+木内建築計画事務所+田中雅之建築設計事務所 |
構造設計: | 福山弘構造デザイン/福山弘 |
設備設計: | テーテンス事務所/真野智敬 |
協働: | 小市浩伸、前田文章、前田格(東京建設コンサルタント) |
統括: | 中井祐(東京大学教授) |
コーディネーター: | 尾崎信(東京大学助教在任時、現愛媛大学講師) |
ファシリテーター: | 海野芳幸、武下公美(地域まちづくり研究所) |
用途地域: | 用途地域の指定のない地区 |
敷地面積: | 926.48㎡ |
建築面積: | 169.74㎡ |
延床面積: | 137.46㎡ |
建蔽率: | 18.32%(/70%) |
容積率: | 14.84%(/200%) |
構造: | 木造 |
規模: | 1階 |
基礎: | ベタ基礎 |
最高高さ: | 4.165m |
所要室等:本体: | 集会室、和室、調理室、トイレ、倉庫、土間・廊下、風除室 |
所要室等:外部: | 駐車場、構内舗装 |

喜多裕(きたゆたか)
1978年神奈川県横浜市生まれ。
東京大学工学部建築学科卒業、東京大学工学部社会基盤工学専攻景観研究室研究生、アルベルト・カラチの設計事務所 Taller de Arquitectura X 、伊東豊雄建築設計事務所勤務を経て、現在フリーで活動中。

木内俊克(きうちとしかつ)
Diller Scofidio + Renfro (2005-2007、ニューヨーク)、R&Sie(n) (2007-2011、パリ)に勤務後、木内建築計画事務所主宰、東京大学建築学専攻助教。
家具、建築から外構空間、都市、また舞台美術に至る領域横断的なデザインの実践とともに、デジタルデザイン教育/研究に従事。

田中雅之(たなかまさゆき)
1979年大阪府生まれ。
東京大学大学院社会基盤学専攻修了後、LLT/LLA(JP/US)勤務を経て、田中雅之建築設計事務所主宰、東京大学生産技術研究所特任研究員。
研究開発および建築設計に従事。
主なプロジェクトに、佐世保の実験住宅(2013年グッドデザイン賞 )、弥生の研究教育棟 I-REF、東京大学総合図書館別館、獺祭「かみのやたい」、久御山町「黄金の茶室」など。