
レクチャーホール全景
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本多通り口のホワイエ横に配置された96席のレクチャーホールはガラス壁だけで構成されていて、軽やかで、視線を通すようにデザインされている。この透明ガラス壁は意匠的な意味で採用されており、求められた遮音効果を得るため、二重ガラス構造とされている。結果として、コンクリートの壁と同等の遮音効果を得ている。二重ガラスの内側にはカーテンが設置されていて遮光することも可能。
しかしそのように壁面素材にガラスを使用すると音の反射が繰り返されるフラッター・エコーが発生してしまう。適正な音環境が求められるレクチャーホールでは致命的な欠点だ。壁面に吸音材を張れば解決されるが、視線を透過する特長が失われてガラスを使用する意味が無い。こう判断した設計者は次のような解決を図った。それはガラス壁を傾けること。ガラス壁は平行であるから音の反射が繰り返されてフラッター・エコーが発生するのだ。ここでは内側のガラス壁上部を外側に少し傾斜させるような設置角度が付けられた。そうすることによって、音は天井方向へと反射してゆく。天井には吸音材を設置して、ここで音を吸収するという仕掛けだ。床面はコンクリートで音を反射してしまうので、ガラスの傾斜と天井の吸音面によって、フラッターエコーを回避し、適正な残響性能を確保している。 |