file.8 フレームレスのためのカラクリ[2] GLASS&ARCHITECTURE Design Files
case1:金沢21世紀美術館
[廊下のガラススクリーン] Top
金沢21世紀美術館平面図 金沢21世紀美術館概略 設計者インタビュー
金沢市21世紀美術館建設事務局インタビュー
上下枠を見せないガラスの屋内スクリーン
下枠と上枠が床上、天井下に露出せず、床と天井内に納まっているスクリーン。そのシンプルさとは裏腹に施工はユニークな工程にサポートされている。
DATA
■廊下スクリーンガラス仕様
種別:フロートガラス
板厚:15ミリ
サイズ:約4000mm×1500mm
デザインギャラリーのフレームレスなガラス壁面
デザインギャラリーのフレームレスなガラス壁面
 金沢21世紀美術館のガラスは基本的にフレームレスに見せるのがデザインコンセプト。できることなら継ぎ目の全く無い1枚の透明な膜で構成したいと意図しているかのようだ。館内は展示室の壁面以外は基本的にフレームレスなガラスの壁面で構成されているが、縦フレームのみならず水平方向のフレームも床と天井にビルトインされ、視覚的に副資材は徹底的に排除されているように見える。(展示室の壁は展示壁面としての必要性から、仕上げは内外とも塗装壁面であるが、ここにも巾木、廻り縁などはない)。
 ガラススクリーンの納まりのシンプルさのために、施工は逆に複雑な工程を経る。ガラスは上下サッシへの呑み込み寸法が必要だが、水平サッシが天井や床に埋め込まれているということは、ガラスの縦方向の実寸法は天井高よりも上下の呑み込み分(約30mm)大きい。通常、ガラススクリーンは屋外側から施工し、運搬・移動と、はめ込みのための上方のクリアランスは確保できるが、内部スクリーンでしかも天井高さよりガラスの高さのほうが大きいというのは施工上大きな困難を伴う。建物内部でガラスを垂直に立てたまま移動できないばかりか、回転させるのも不可能である。ここではガラス施工を床の仕上げコンクリートの打設前に行うことによってクリアランスを確保し、ガラス移動も、きわめて低床の台車を用いて傾斜した状態で行うなどの工夫によりこの施工を可能にしている。
デザインギャラリー
壁面床の納まり。
デザインギャラリー壁面床の納まり デザインギャラリー前廊下断面図 デザインギャラリー前廊下断面図。床の仕上げコンクリートの120mm分は、ガラスを施工した後に打設された。
外周壁のぺリメータゾーンに設置されている空調吹出口。この溝にAC電源コンセントなどの機能パーツも仕込まれていて、壁面をシンプルに保っている。   外周壁のぺリメータゾーンに設置されている空調吹出口