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case10:大林組技術研究所本館 テクノステーション GLASS&ARCHITECTURE Design Files
file.36 創造的ワークプレイス
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概要 基本図面
大林組技術研究所 テクノステーションの執務スペースは大きなワンボックスが特徴だ。研究員同士のコミュニケーションを誘い、知的生産性を向上させるためのプランニングとは。
「温熱環境と空間をあわせた窓まわりの解き方に可能性を感じます」

――ワークプレイスを大きなワンボックスとした理由を教えてください。

和田 いろいろな場所から人の表情や動きがわかり、対話がはじまる環境をつくろうとワンボックスのワークプレイスにしました。90m×18m、高さ6.4mほどの大きなフロアプレートを用意し、3階建ての建物の2、3階部分にアクティビティを立体的に配置しています。2階の外周にはカフェスポットやミーティングスポット、ライブラリー等のマグネットスペースを配置しています。そして2、3階とも大きな開口部に面した南側は人が集まったりくつろぐことができるスペースを配置しました。

――大空間を実現するために、どんな工夫をされているのでしょうか。

和田 大空間の開放感を損なわないように、大きな柱や梁が出ないよう構造体にも工夫しました。超高強度鋼を使用した鋼管内部に超高強度コンクリートを充填した「超高強度CFT柱」を採用し、直径わずか500mmの柱を18mスパンで飛ばすことができました。ワークスペース上空を通過するブリッジにも従来は土木分野で使われている高靭性高強度モルタルを活用しました。スラブの厚さは一般的なものの半分ほどです。

 
3階からみたワークスペース。
 

――なぜ大きなガラス開口部を採用したのでしょうか。

和田 熱効率の視点から考えると開口部の面積を減らし、外部からの負荷を抑制したほうがよいのです。しかしここでは外周部を気持ちよい空間とすることを大事にして、あえて東、南、西の三方位をガラス開口部としました。南側にはケヤキ並木が続いており、高層の建物も周囲になく視線も抜けます。そこでマグネットスペースを用意した外側に人を誘引し、立地環境を楽しめるように大きな開口をつくろうと考えたのです。

東側から見た本館 テクノステーション。前庭を挟んでケヤキ並木のストリートに視線が抜ける。
――ファサードのガラスの構成を教えてください。

和田 ガラスファサードはリブガラスというシンプルな方法によるものです。通常は内側に出すリブガラスを外側に出し、そこにプリントパターンを施して低角度の日射をできるだけカットしつつ、高角度な日射は庇で遮るようにしています。シミュレーションによると年間の日照時間の約半分が影になるようになっています。フルハイトの構成により、外部との一体感を保つことができています。

 

――ブラインドやルーバーのようなものは使われていないのですか?

和田 時間帯によっては直射を受けてしまうので、電動のブラインドが入っています。1年、あるいは1日の中での動かし方を検討して自動制御し、できるだけ眺望を確保する動かし方をしています。

――意外に窓まわりの構成がシンプルで、驚きました。

和田 実は空間構成の工夫で温熱環境をカバーしているんです。「ペリバッファーシステム」と呼んでいるのですが、マグネットスペースの並ぶ外側3mほどの外周は人の滞在時間が比較的短いので、空調温度の緩衝地帯としています。空調の床吹き出し口をペリメーターゾーンの外側ではなく内側に設置して、執務スペースとの間に軽いバリアをつくっています。簡易なガラスファサードですがダブルスキンとほぼ同等のエネルギー削減効果を持ち、イニシャルコストは3/4程度で済みます。

――設備的な仕組みとプランニングの複合させることで、うまく温熱環境を向上できるんですね。

和田 知的生産性を向上させるために効果的な空間要素は「空調・温熱環境」と「空間の快適性」の2つという調査結果が出ています。後者の空間の快適性を上げるために、家具や什器の配置のみならず窓まわりの構成に可能性を感じています。特にプランニングと温熱環境をあわせた解き方には、将来的にも工夫の余地があるのではないでしょうか。

 
1階エントランスのピロティ。芝の緑が反射する。軒天井のスリットは吸気用ダンパー。