case11:旭硝子株式会社 鹿島工場新中央工務棟 GLASS&ARCHITECTURE Design Files
file.39 ETFEフィルム開口部で構成するファサードデザイン
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基本図面 開口部詳細図
建物は小規模ながらETFE膜構造の連続曲面により、非常に強い印象を受ける。ガラスとは異なる新材料による居住性の克服と、建築法規上の考えかたなど、設計上のブレイクスルーは・・・。
2階室内外からの眺め
 

――ETFEという材料が開口部に実現した経緯を教えてください。

阿部兄弟建築事務所(以下A/O): ETFEフィルムには耐火性能はありません。材料としては防炎1級です。これがガラスと肩を並べる窓材料として、今まで認識されなかった大きな理由と思います。そんな中でファサードにETFEフィルムを使う最初の提案は施主側からありました。日本建築センターとの確認で見えてきたのは、ETFEフィルムの使用部位が延焼範囲外のため、開口部材料としての使用に問題はない、しかし不燃材料でないことからカーテンウオールとしての使用はできないということです。つまり透明「壁」材料としての使用はできないが、延焼範囲外の部分の「窓」材料としては問題ないということですね。
そのように使用部位条件をクリアした後、次にこの材料を活かすデザインに多くのスタディを行いました。

計画段階で検討されたファサード案の一部
 

――2層の間に加圧空気層を持つ膜構造の採用は最初から決まっていたのですか?

A/O: ETFEはフィルム状ですから、単層でテンションをかけフレームに固定する方法もないわけではありません。しかし単層では外装材として受ける温度変化に追随できず、皺が発生します。また単層の場合はどうしても直線的な形状になってしまいますし、断熱性は明らかに空気層がある2層膜の方が高いのです。このため膜構造として内圧をかけ、形状を安定させながら断熱的に有利な構造を採用したのです。

――六角形のユニットというのは珍しいと思いますが・・・

A/O: この点は結果として良かったのですが、最初のユニット形状の提案はAGCからありました。
この材料の扱い部署である化学品カンパニーのビジュアルマスコット(アイドル)であるケミーをモチーフとしています。(右図)製品や事業部のイメージと連動してこの形状でユニットを展開できないかと・・・。

 
 
屋外から見る六角形ユニット
 
化学品カンパニーの
ビジュアルマスコット「ケミー」

――ハードルがまた一つ増えたのではありませんか?

A/O: そうですね、ファサードデザインとしては、開口部全体を平面図的に見てゆるやかなS字を描く形状にしています。これは建物へのアプローチが開口部に対して正面方向からではなく、向かって右側方向から来るためです。ETFEフィルム開口部のもつ不思議な質感と形状をより印象的にするためには、アプローチ時の視線の引っかかりが必要だと考えたのです。しかしその構成ユニットが六角形になると・・・ハニカム状の面をどこかで曲げなければなりません。これがその後のディテール上の大きな検討要素になったことは事実ですね。

 

 



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