—— かなり特殊な納まりをされていますが、お施主さんにはどのように説明されるのでしょうか。
石井 同じプランでも、隅々まで意識が行き届き、線を消すような納まりをする場合とそうでない場合はまったく違う建物になると伝えます。納まりを工務店任せにしたら全然違うものになってしまいます。また、窓枠を消すような納まりを採用する場合、ガラス交換する際に簡易な補修が必要になる場合もございますが、それほど交換が必要になるような場所ではないことを説明します。
—— 浴室の扉にもガラスが使われていますが、汚れやすいのが欠点です。メンテナンスについてはどのようにアドバイスされているのでしょうか。
石井 日々拭かない限りはきれいに保つことは難しいと伝えます。どうしても汚れてしまうので汚れが気になるなら毎日拭いてくださいと。でも、実際はきれいに使われれる方が多いのでありがたいですね。
——最後に、ガラスまわりの納まりを大事にされる意味や思いをお聞かせください。
石井 元々、ガラスは好きな素材です。光や視線を透過するという機能もありますが、素材そのものが美しいと感じるんですね。また、窓を始めとする開口部は、住宅のデザインには非常に大切な部位だと思っています。ところが付随してくるアルミサッシが美しさを阻害してしまうことがあります。光や影を演出する際にも、その光や影を純粋にそれだけで見せるために枠はない方がいいですよね。可能な限り単線で納め、ガラスをガラスだけで見せたいという考えから、このようなディテールを採用しています。
写真:鳥村鋼一
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