ミストロンエース®
注意事項・品質保証等
ガラスを安全に末永くお使いいただくために
ガラスを安全に末永くお使いいただくために、板ガラス製品全般に関係する注意事項をまとめました。
カタログをご利用になる際、是非ご確認ください。
また、各商品グループ・商品に特有の注意事項に関しては、各製品の「設計・施工上のご注意」でも詳細にご説明しています。
併せてご確認をお願いいたします。
ガラスが破損しますと、ガラスの破片で人が重傷を負ったり、時には死亡したりする場合があります。 ガラス周辺の設計に際しては、破損事故の危険性を最小限にするため、「ガラスを安全に末永くお使いいただくために」をご確認ください。
警告マークを付した項目は、ガラス破損などによる事故防止のために、特に重要な事項が説明されています。必ずご一読いただきますようお願いいたします。
注意マークを付した項目は、商品の劣化などを防止するための品質保持に関する事項が説明されています。
ガラスの品種・呼び厚さ・納まりのご設計にあたっては、下記事項をご考慮ください。
- ・商品仕様を十分ご確認の上、商品を選択してください。
- ・省エネ・安全・防火・意匠など、求められる機能からガラスの「品種」をお選びください。
- ・ガラスの使用部位・寸法などの条件から、必要な技術検討を実施いただき「呼び厚さ」をお選びください。
- ・呼び厚さ・最大寸法などの品揃えは、ガラスの品種ごとに異なりますので、商品の「ラインナップ」「バリエーション」欄および「製品の種類と寸法一覧表」の最大・最小、規格寸法を今一度ご確認ください。
- ・ガラスを安全に末永くお使いいただくため、「納まり」などガラス周辺のご検討も合わせてお願いいたします。
- ・商品の仕様によって、その商品独自のご注意のみならず、商品を構成するガラス素板それぞれのご注意にも併せて配慮いただく必要があります。
設計上のご注意
ガラスの強度検討
外力によるガラスの破損を防止するために、必要に応じて次の(1).(5)の強度検討を実施の上、ガラスの品種・呼び厚さをご選定ください。
- (1)風圧に対する強度検討
例えば、窓や外部ドアなど、風圧を受ける部位にガラスを使用される場合は、強風によるガラスの破損を防止するため、耐風圧強度をご検討の上、ガラスの品種・呼び厚さをご選定ください。〈技術資料編4- 1参照〉
- (2)衝撃に対する強度検討
例えば、住宅のテラス窓・学校の窓・公共施設の玄関ホールなど、人体または飛来物による衝撃が予想される部位にガラスを使用される場合は、ガラス破損による事故を防止するために、「所定の衝突力に対して割れないガラス」または「割れても安全なガラス(合わせガラス、強化ガラス)」をご選定ください。〈技術資料編4- 3・4- 4・4- 5参照〉
- (3)傾斜面でガラスを使用する際の強度検討
例えば、トップライトや傾斜面の窓など、垂直以外の角度でガラスを使用される場合は、風圧・積雪荷重・ガラス自重の組み合わせによるガラスの破損を防止するため、特別な強度検討を実施の上、ガラスの品種・呼び厚さをご選定ください。また、万一破損した場合のガラス破片落下による事故を防止するため、合わせガラスの使用・飛散防止フィルム貼付・網入板ガラスの使用など、落下防止措置を必ず講じてください。〈技術資料編4- 2参照〉
- (4)特殊な荷重を受ける場合の強度検討
例えば、棚板や床など、特殊な集中荷重を受ける部位にガラスを使用される場合は、特殊支持条件のもとでの強度検討を実施の上、ガラスの品種・呼び厚さをご選定ください。また、床材としてガラスを使用される場合は、ガラス破損時の人体落下事故を防止するため、必ず強化合わせガラスをご選定いただき、万一、ガラスが1枚破損した場合でも、非破壊のガラスで設計荷重に耐えられるようにご設計ください。〈技術資料編4- 2参照〉
- (5)水圧に対する強度検討
例えば、水槽やプールののぞき窓のように、長期にわたって水圧を受ける部位にガラスを使用される場合には、万一のガラス破損時でも二次的損害を防止できるように特別な考え方に基づく強度検討を必ず実施の上、ガラスの品種・呼び厚さをご選定ください。〈技術資料編4- 8参照〉
熱割れを防止するための検討
例えば、熱線吸収板ガラス・熱線反射ガラスなどの日射吸収率の高いガラス、網入板ガラス・呼び厚さの厚いガラスなどのエッジ強度の比較的小さいガラスを使用される場合、網入板ガラスを用いた複層ガラスなど※を使用される場合は、日射によるガラスの熱応力破壊(熱割れ)を防止するため、熱割れ強度をご検討の上、ガラスの品種・呼び厚さ・窓枠の種類・窓枠への納まり・カーテンやブラインドの種類などをご選定ください。
また飛散防止や遮熱・遮光などの機能を持ったフィルムなどを貼る場合は、必ずフィルムメーカーにて熱割れ計算を行ってください。
- ※
- ・熱線反射ガラスと網入板ガラスを用いた合わせガラス・複層ガラス
- ・Low-Eガラスと網入板ガラスからなるサンバランス
- ・フロート板ガラスと網入板ガラスからなる複層ガラス〈技術資料編4-6参照〉
地震時のガラス破損を防止するための納まり検討
地震時の建物の変形(層間変位)によって窓枠が変形する場合、はめ込み枠とガラスとのエッジクリアランスによって変形を吸収して、ガラスの破損を防ぎます。窓枠の変形量に対して十分なエッジクリアランスを確保してください。〈技術資料編4- 7参照〉
日本建築学会ではエッジクリアランスなどの標準的な寸法について、「建築工事標準仕様書17番ガラス工事(JASS17)」に基準を定めています。〈総合カタログ商品編第15章「板ガラスの納まり寸法標準」参照〉
また、硬化性パテを用いたグレイジングでは、はめ込み枠とガラスとの変形を拘束して破損の原因となります。弾性シーリング材、またはグレイジングガスケットによるグレイジングをご採用ください。
雨水などによるガラスの品質低下を防止するための納まり検討
網入・線入板ガラス、複層ガラス、合わせガラスを使用される場合には、雨水などによる下記の品質低下を防止するため、止水性・排水性が確保できる納まりとしてください。特に、ガラス小口を露出するような納まりや、水抜き孔のないサッシ、ビード、ガスケットの使用は避けてください。〈「板ガラスの納まり」および各商品の「設計・施工上のご注意」参照〉
- (1)網入・線入板ガラス→線材が錆びてエッジ強度を低下させ、錆割れや熱割れの原因となります。
- (2)複層ガラス→封着材が劣化して中空層内結露の原因となります。
- (3)合わせガラス→特殊フィルムが劣化して白濁(白っぽく変色する)や膜剥離の原因となります。
ガラスの加工に関するご注意
- (1)切り欠き加工、孔明け加工
切り欠き・孔明け加工をすると、切り欠きの入り隅部・孔部の強度が著しく低下する場合があります。外力のかかる部位にはご使用にならないでください。やむを得ずご使用になる場合は、強化ガラス・強化合わせガラスなどをご使用ください。
- (2)フロスト加工
フロート板ガラスの表面をフロスト加工すると曲げ強度は型板ガラスと同程度の水準に低下します。耐風圧設計にあたっては、型板ガラスの強度係数を用いてください。
- (3)強化加工、倍強度加工、合わせ加工、複層加工
ガラスの品種によって、加工できないものがあります。
〈テンパライト〉(強化)〈HSライト〉(倍強度)〈ラミセーフ〉(合わせ)〈ペアガラス〉(複層)の各商品ページをご覧ください。
その他のご注意
- (1)水掛かり部分にガラスをご使用になる場合
噴水、浴室、冷却塔周辺など、ガラス表面で水分の濡れと乾燥が繰り返されるような部位に使用しますと、ガラスからの溶出成分と空気中の炭酸ガスが反応固着するなどして、ガラス表面を白濁させてしまいます。固着物を取り除くためには、表面を機械的に研磨するしか方法はなく、状態によっては取れなくなる場合もあります。
- (2)ガラスを傾斜面でご使用になる場合
トップライトなどでガラスを傾斜面で使用する場合、夏場日中など太陽高度の高い時間帯の日射が、水平に近い角度で反射した場合、周囲の人の目に入り眩しさを感じさせる可能性があります。太陽の反射光が周囲の建物などに影響を与える場合、設計段階からメーカー、施工業者とも相談の上、周辺の迷惑にならないよう、ご検討いただくようお願いいたします。なお、AGCアメニテック(株)では、反射光軌跡シミュレーションを有料でお受けしております。〈技術資料編9- 1参照〉
- (3)その他の特殊なご使用方法については、その都度安全性をご確認ください。
施工上のご注意
納まりの確認
施工されるガラス品種・呼び厚さに適した納まりになっているかどうか、下記事項に関してご確認をお願いします。〈「板ガラスの納まり」、各商品の「設計・施工上のご注意」、「板ガラスの納まり寸法標準」参照〉
- (1)ガラス品種に応じた構法となっているかどうか。
- (2)所定のかかりしろ、クリアランスが確保できているかどうか。
- (3)セッティングブロック、バックアップ材、シーリング材、グレイジングガスケットなどが適切に選定されているか。
採寸・ご発注
次のガラスは現場切断が不可能または困難なため、正確な寸法で原寸発注をお願いします。
強化ガラス、倍強度ガラス、複層ガラス、合わせガラス、呼び厚さの厚いガラス(8ミリ以上)
切断、面取りなどをされる場合
- (1)ガラスは、できるだけきれいに切断(クリーンカット)してください。
- (2)糸面取りや切り口修正などでサンダーを使用する場合は、#120以上のできるだけ細かい番手のものをご使用ください。また、グラサード用ガラス、熱線反射ガラス、二辺支持のガラスなど、エッジ強度を確保するために特別な面取り加工を施してある製品の小口を損傷してしまった場合の修正は、当該面取り加工と同等の加工が必要となります。
はめ込み溝の確認
はめ込み溝内部に、地震時にガラスエッジに接触するビスなどの突起物がないかどうか、また、水抜き孔が塞がっていないかどうかをご確認ください。
養生
- (1)ガラスに「ガラス注意」などの貼り紙を貼る場合には、マスキングテープなどをご使用ください。でんぷん質系の糊は、ガラス表面剥離の原因になりますのでご使用にならないでください。
- (2)ガラスのはめ込み後、吹き付け材などの汚れが付くおそれのある場合には、塩ビシートなどをガラス面に張り付けて養生してください。
- (3)ガラスのはめ込み後、溶接火花がかかるおそれのある場合は、薄鋼板または合板などで必ず養生をしてください。溶接火花による傷は補修できません。
使用・メンテナンス上のご注意
ひび(クラック)の生じたガラスは放置しないでください。
ガラスに生じたクラックは、それが小さいものであっても強度を著しく低下させます。
クラックの生じたガラスは、手で軽く押したり、比較的弱い風が吹いただけで破損することがありますので、放置せずにできるだけ早い時期にガラスをお取り替えになることをお薦めいたします。また、ガラステーブル天板・強化ガラスドアの周辺部などの特殊な面取り加工を施したものを除いて、一般にガラスのエッジ部分は非常に鋭利で危険です。ガラスのお取り替えにあたっては、専門の工事業者様へご用命ください。
トップライトなどのガラスの上には、絶対に乗らないでください。
トップライトなどに使用されているガラスは、通常、人体による集中荷重に対する強度検討は実施されていません。例えば、トップライトガラスを清掃する際など、ガラスには絶対に乗らないでください。
網入板ガラスや合わせガラスを使用している場合でも絶対に乗らないでください。
ガラスの熱割れにご注意ください。
次のような行為は、ガラスの温度上昇や温度の不均一な部分が生じるため、「熱割れ」の原因となります。
- ・飛散防止や遮熱・遮光などの機能をもったフィルムを貼ること
- ・ガラス面に密接して物を置いたり、立て掛けたり、衣類、クッション類を干したりすること
- ・段ボール箱などを室内ガラス面に近づけて置くこと(一時的な仮置きも含む)
- ・ロッカーやパーティション、家具などをガラス面に近づけて設置すること
- ・カーテンやブラインドなどをガラスの全面もしくは一部に密接させること(束ねたときも)
- ・冷暖房の吹き出し空気や熱を直接ガラス面に当てたり、強い照明を当てること
- ・窓ガラスに紙などを貼ったり、ペンキなどをぬること
- ・窓ガラスに特殊な影を落とすこと(設計段階で考慮されたものを除く)
熱線反射ガラスの傷
熱線反射ガラスなどのコート面を、硬いものでこすると傷がつきます。一度ついた傷は補修ができませんのでご注意ください。
ガラス防煙壁の落下にご注意ください
ガラス防煙壁は、法令が定める定期的な点検において、き裂、破損、変形等がないことを確認することが求められています。地震等による大きな外力を受けた場合には、吊り棒が破断する可能性もありますので、定期的な点検の際には、ガラスの割れ・ヒビ等の外観異常だけではなく、ガラス列の傾きや化粧材の変形、シーリング材及びガスケット等の経年劣化についても、目視による点検を実施してください。
点検により異常が発見された場合には、速やかに補修、交換をお願いします。
点検内容については、総合カタログ商品編<第15章「設計・施工上のご注意・使用上のご注意」>をご参照ください。
次のガラスをご使用になる場合は、特にご注意ください。詳しくは各商品の「ご注意」欄を参照ください。
強化ガラス
強化ガラス(耐熱強化ガラスを含む)は、一部に破損が起こると応力のバランスがくずれて瞬間に全面破砕します。これにより、ガラスが脱落して開口部が開放状態となることがあります。また、ガラス表面の傷やガラス中の引張り応力層に残存する不純物の体積変化に起因し、外力が加わっていない状態で不意に破損することがあります。強化ガラス(耐熱強化ガラスを含む)の性質を十分ご理解の上、使用部位をご決定ください。また、必要に応じ、合わせガラス加工・飛散防止フィルム貼付などの飛散防止処理を講じてご使用ください。
〈「強化ガラスを安全にお使いいただくために」参照〉
倍強度ガラス
倍強度ガラスは、ガラス表面の傷やガラス中の引張り応力層に残存する不純物の体積変化に起因し、外力が加わっていない状態で不意に破損する可能性があります。
倍強度ガラスの性質を十分に理解の上、使用部位をご決定ください。
網入・線入板ガラス
網入・線入板ガラスをご使用になる場合、例えば、エッジを露出して使用したり、排水機構が機能しないなどの理由によって、雨水などがガラスエッジ部に滞留すると、エッジ部分の線材を錆びさせ、その体積膨張によってガラスエッジ付近に微小なクラック(ひび割れ)を生じさせることがあります。このクラックは、熱割れの原因になります。網入・線入板ガラスのご使用にあたっては、サッシの排水機構など納まりについて十分ご検討ください。また、グレイジングチャンネルなど、排水が難しい納まりでのご使用は、なるべくお避けください。AGCは、網入・線入板ガラス製品エッジ部全周に防錆処理を施しています。お客様がこれらの製品を切断されてご使用になる場合、切断した全てのガラスエッジ部に防錆処理を必ず施してください。
複層ガラス、合わせガラス
複層ガラス、合わせガラスを使用される場合には、雨水などによる下記の品質低下を防止するため、はめ込み枠下辺に水抜き孔を設けたり、弾性シーリング材によるグレイジングを行うなどして止水性・排水性を確保してください。また、ガラス小口を露出するような納まりは避けてください。
複層ガラス→封着材が劣化して中空層内結露の原因となります。夏の暑い時期には、Low-Eガラスの表面温度が上昇し、熱くなることがあります。
合わせガラス→特殊フィルムが劣化して白濁(白っぽく変色する)や膜剥離の原因となります。
ミラー・壁装ガラス・装飾ガラス
ミラー・壁装ガラス・装飾ガラスの一部などは、内装専用となっています。外装使用した場合、日射によって変退色・剥離・熱割れなどの品質低下を生じることがあります。また、内装に使用する場合でも、直射日光が当たる部分にはなるべくご使用にならないでください。
〈「設計・施工上のご注意」欄参照〉
ガラス施工店、販売店の皆様へ
- (1)強化ガラスおよび倍強度ガラスの注意すべき性質について、お客様に十分ご説明をお願いいたします。
- (2)使用予定部位をご確認いただき、必要に応じて飛散防止処理をお客様にお薦めしていただくようお願いいたします。
設計・施工上の注意
【強化ガラス共通】
- ・「強化ガラスを安全にお使いいただくために」をご参照ください。
- ・全体として応力のバランスが保たれており、強化処理後の切断はできませんので、正確な使用寸法でご発注ください。また、強化処理後の孔明け、切り欠きなども同様の理由でできません。
- ・熱処理の影響により、通常の板ガラスと比較して、反射像や透視像のゆがみは大きくなります。特に<サンルックスT>として使用した場合は、特性上このゆがみが目立ちますのでご注意ください。
- ・製法上寸法精度はフロート板ガラスより悪くなりますので、ご留意ください。
- ・生産時の部分的な温度差の影響で、筋状あるいは斑状の模様が見える場合があります。日射の状態によっては、虹色に見える場合もあります。
- ・ガラスのエッジ部とサッシなどの金属との直接接触は、絶対に避けてください。
- ・防犯性は高くありませんのでご注意ください。
- ・シーリング材は、JIS A 5758に規定する良質の弾性シーリング材(シリコーンシーラント、ポリサルファイドなど)をご使用ください。
- ・バックアップ材は、発泡ポリエチレンフォーム、クロロプレンゴムなどをご使用ください。
- ・セッティングブロックは、クロロプレンゴム、またはEPDMの硬度90°以上のものを下辺に2ヶ所ご使用ください。
- ・各種クリアランス・かかり代などの納まり寸法は、「板ガラスの納まり寸法標準」に準じてください。
- ・網入板ガラス・線入板ガラスの強化ガラスは製造できません。
【ミストロンエース】
- ・型板強化ガラス<ミストロンエース><ホームミストロン><スクールミストロン>は、普通の型板ガラスの型模様とは異なった、専用の型模様となります。
- ・<ミストロンエース><ホームミストロン><スクールミストロン>の型模様面は、室内側に向けてご使用ください。
- ・「ガラスを用いた開口部の安全設計指針」(一般財団法人日本建築防災協会)では、強化ガラスは割れても安全なガラスとして安全設計の必要性が高い部位での使用が推奨されています。
- ・熱処理の影響により、通常の板ガラスと比較して、反射像や透視像のゆがみが大きくなります。また、合わせガラスにすると、透視像のゆがみが大きくなる場合があります。
- ・人体の衝撃および飛来物によるガラスの破損率などについての実験結果は技術資料編4- 3をご参照ください。
使用上の注意
【強化ガラス共通】
- ・フロート板ガラスにくらべて表面硬度が若干低いため、クリーニングの際にカッターや金属のスクレーパーは使用せず、また、スクイージ(ガラス清掃用水切り器具)の金属部分がガラスに触れないようご注意をお願いします。
- ・強化ガラスに貼り付けられている各種シールは、製品仕様を判りやすく表示したものです。シールそのものにつきましては保証を行っておりません。お引渡し後、ご使用環境によってはシールが剥がれる可能性がありますので、その際は除去してください。
【ミストロンエース】
- ・<ミストロンエース><ホームミストロン><スクールミストロン>の型模様面が水で濡れると、透けて見える場合があります。
- ・強化ガラスは「ガラスの中に存在する不純物に起因するキズ」により不意に破損する可能性があります。
- ・強化ガラスは、フロート板ガラスに比べると表面硬度がやや低いため、フロート板ガラスと同様の取り扱いでも傷がつく場合があります。クリーニング時は、金属製の清掃用具を使用しないでください。
強化ガラスを安全にお使いいただくために
- 注)耐熱強化ガラスをお使いの際にもご確認ください。
■ 強化ガラスを安全にお使いいただくために
強化ガラスは強度が高く、万一破損しても破片が細かい粒状になる安全性の高いガラスですが、破損時に破片が脱落することがあります。また、一般の板ガラスとは異なる「ガラスの中に存在する不純物に起因するキズ」による不意の破損など、独特の性質をもっています。強化ガラスの基本特性である破損性状や不意の破損などをご理解いただき、ご採用にあたっては使用部位や高さ、その他の安全対策などに関する十分なご検討をお願いいたします。
なおAGCでは、十分管理の行き届いた日本工業規格(JIS)表示許可認定を受けた工場で、強化ガラスを製造しています。また、強化ガラスの製造にあたっては、ガラスの中に存在する微細な不純物に起因する不意の破損をゼロに近づけるため、原料管理、製造設備管理、ヒートソークの処理*などの施策を行っています。さらに今後も品質の向上に努めてまいります。
- * ヒートソーク処理:強化加工後に再加熱処理を実施し、強化ガラスに存在する微細な不純物が含まれていた場合、強制的に破損させる方法。強化ガラスのヒートソーク処理の実施については、品種により異なります。
1.破損の際の特徴
強化ガラスは表面に圧縮応力層があり、内部にそれとバランスした引張応力層があります。強化ガラスの破損時には、ガラス表面の圧縮応力層とガラス内部の引張応力層のバランスが崩れ、一瞬にしてガラスの全面が細かく粒状に破損します。施工条件によっては破損時にガラスが脱落することがあります。通常、破片は粒状にバラバラになりますが、破砕しても粒が離れずに破片の塊になることもあります。また破損時には音を伴う場合があります。
2.破損の原因
強化ガラスの一般的な破損原因は、下記の3点が考えられます。
- ①飛来物や地震など、外部から強い力が加わった場合
- ②小さく鋭いキズが、ガラス表面についた場合
- ③ガラスの中に存在する微細な不純物があった場合
強化ガラスの特徴として、ガラス内部の引張応力層にキズが発生した場合に応力バランスが崩れ、外力が加わっていない状態で不意に破損することがあります。
3.被害発生の可能性
近くに人がいた場合、ガラスの粒状の破片を浴びたり、頭上から落下してきた破片の塊に当たったりすることがあります。破片の塊の大きさによっては人にケガを負わせたり、場合によっては命に関わる事故になるおそれがあります。
4.被害の発生を避けるための措置【強化ガラスの破損落下による被害を避けるためのAGC推奨措置基準】
AGCでは、強化ガラスを安全にご使用いただくために、ガラス破片の落下防止措置について、以下のとおり推奨基準を設けています。なお、ガラスが破損して脱落したときに人がケガをするおそれがある場合や、破損時に人が転落する危険性がある場合には、強化合わせガラスのご採用や、全面に飛散防止フィルムを貼るなど、万一のガラスの破損に対する落下防止措置を必ずおとりください。
- 注)強化合わせガラスや飛散防止フィルムを貼った強化ガラスでも、破損時に非常に細かい破片が脱落する場合があります。
- 1)建築用途に使用する強化ガラス
- ①垂直に使用する場合
強化ガラス製品および強化ガラスを使用した構法をご採用になる場合は、表「強化ガラス製品、構法ごとの使用可能範囲の目安(AGC推奨基準)」をご参照のうえ、以下の注意事項を必ずお守りください。
- ・高所に使用する場合
地上または床面(歩行面)からガラス上端部までの高さが表の16m、または3mを超える高さに強化ガラスを使用する場合、万一の破損時に有効な強化合わせガラスのご採用や、全面に飛散防止フィルムを貼るなど、施工法に応じた落下防止措置を必ずおとりください。また、安全性の面から、落下防止措置なしでご使用いただける範囲内であっても、建物用途や使用部位、周辺の状況に応じて落下防止措置を講じることをお薦めします。
- ・強化ガラスを使用した複層ガラス
片側に強化ガラスを使用する複層ガラスの場合は、室内側に強化ガラスを使用することを推奨します。両側に強化ガラスを使用する複層ガラスの場合は、室外側を強化合わせガラスにすることを推奨します。いずれの場合も、強化ガラスを使用した面の高さが、表「強化ガラス製品、構法ごとの使用可能範囲の目安(AGC推奨基準)」に該当するかどうかでご判断ください。
- ・高所に使用する場合
- ②傾斜面、水平面に使用する場合
- ・アトリウムなどの屋根、スカイライト、トップライトなど傾斜面、水平面に強化ガラスを使用すると、万一破損した場合に比較的大きな破片の塊となって落下するおそれがありますので、使用する高さにかかわらず、落下防止措置のない強化ガラス単板や複層ガラス下側への落下防止措置のない強化ガラスのご使用はおやめください。
- ・強化合わせガラスのご採用や、全面に飛散防止フィルムを貼るなどの落下防止措置をおとりください。
- ・複層ガラスの上側に強化ガラスを使用する場合でも、下側のガラスは合わせガラスもしくは飛散防止フィルム貼りのガラスとしてください。
- ③フレームレス構法に使用する場合
強化ガラスのエッジが露出したり、部分的に支持する場合が多いため、構法に応じた落下防止措置を必ずおとりください。枠を使用していない手摺など、破損時に人が転落する危険性がある場合も、落下防止措置を必ずおとりください。また、エッジが露出している場合、強化合わせガラスや飛散防止フィルムを貼った強化ガラスでも、エッジから破片が脱落するおそれがあります。エッジが露出する場合には、エッジカバーを取り付けるなど、落下防止対策を施してください。
- ①垂直に使用する場合
- 2)建築用途以外に使用する強化ガラス
家具などに金具で強化ガラスを留める場合、金具と強化ガラスが直接接触すると破損の原因となります。必ず緩衝材を入れ、金具と強化ガラスが直接接触しないようにしてください。
■ 飛散防止フィルムによる落下防止措置
飛散防止フィルムによる落下防止措置を講じる場合は、フィルムメーカーが定める施工法に従い、正しく施工してください。また、フィルムメーカーが推奨する性能保証期間を過ぎた場合は、速やかにフィルムを交換してください。
■ 強化ガラスに打刻されたマークについて
AGCでは、1995年7月以降に出荷している全ての強化ガラス製品*に対して、品種・製造年月・製造工場などの情報のマークを打刻しています。
- *テンポイント構法など、フレームレスファサードに使用する強化ガラスを除く。
板ガラスの納まり寸法標準
日本建築学会では、建築工事標準仕様書・同解説 ガラス工事(JASS17)のなかで、不定形シーリング材構法、グレイジングガスケット構法について、耐震性などの性能について特記されていない場合における納まりの寸法標準を示しています。
ここでは、JASS17を基本にして、AGCの関連製品をご使用いただく際の各種クリアランス・かかり代の寸法をご提案するものです。
表内の数値を標準として、ガラスの製品精度・サッシの製作精度・施工誤差などを考慮し、なるべく余裕をもってご設計ください。
- (1)不定形シーリング材構法の納まり寸法標準
最も標準的な三方押縁で、中桟のない建具の場合の標準を示しています(四方押縁はこれに準じます)。
一方押縁・二方押縁の場合は、施工時に板ガラスのやり返しが必要となりますので、作業性を考慮して別途寸法を考慮してください。
- (2)グレイジングガスケット構法納まり寸法標準