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Case 16:

クロアチア・SKYSCAPEプロジェクト

設計:小川博央建築都市設計事務所
文:中崎隆司(建築ジャーナリスト)

作品画像


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病院の環境改善のための屋上庭園が、患者と病院スタッフのための憩いとリフレッシュの空間に。コンセプトは、空の風景をつくる「スカイスケープ」。

小川博央氏が手掛けているのは病院の屋上のランドスケープデザインだ。場所はクロアチアの首都ザグレブにあり、大聖堂など歴史的な建物が建つ旧市街から少し離れた区画整理されたエリアにある。病院は築40~50年ほどの中層の近代建築であり、周辺も同じような高さの近代建築が建っている。

2014年夏、突然に設計依頼のメールが入った。海外のインターネットサイトに掲載されていた小川氏の作品を見て依頼を決めたということだった。依頼の内容は病院の環境改善を目的に、屋上を患者と病院スタッフのための憩いとリフレッシュの場所としてデザインしてほしいということだった。
既存の屋上は長方形の形をしている。真ん中に事務室として使われているペントハウスがあり、両サイドはガルバリウム鋼板をふいた屋根である。その両サイドの屋根を利用し、患者と病院スタッフためのスペースを分けてデザインする。それぞれの広さは約200㎡と約150㎡だ。
「当初はランドスケープという先入観で床を対象にプランを検討したが良い案がでてこなかった。そこで発想を転換させた。屋上は土地につながっていないわけであり、スカイスケープをコンセプトに、空の風景をつくろう、大地とつながるよりも空とどうつなげるかを考えようと思った。街並みに対して新しいものをどう溶け込ませるか。地上から見上げる位置にあり、薄く軽くして浮いているように見せることにした」。

屋上が空とつながり、街並みに溶け込むように、薄く軽くして浮いているように見せる。植栽も大地に根付いたものではなく、浮遊するイメージで。

白く塗装されたリング状のパーゴラが連なっていくようなデザインだ。平面的にはリングのパーゴラと四角い形状のプランターでゾーンをつくっており、外に向かって開く場所もあれば、内に向かって植栽を楽しむ場所もある。

パーゴラとプランターのサイズに変化をつけ、それらを様々な角度を持たせたフラットバーの柱でつなぎ、システマティックな四角から柔らかいリングに変換していく様を表現している。リングがプランターよりも小さい場合はリングの内側を空いたままにしている。リングがプランターよりも大きい場合は構造の梁としてきくようなルーバー状のものを挿入し、さらにそれを様々な方向に向かせることで光を制御して、季節や時間によって光の射し方や影の落ち方が変わるようにする。柱のフラットバーの一部はつたなどの植物をからませ、壁のようにして囲まれた憩いの場所をつくる。
手すりは高さのある強化ガラスにし、座った目線で街を眺められるようにする。床は木のチップを混ぜた樹脂製のデッキ材を使用する。ベンチは同じ素材の色違い。プランターの足元の立ち上がり部分はステンレスの鏡面にして緑が浮遊しているような雰囲気を出す。
「植栽も大地に根付いたものではなく浮遊したものというイメージを出すために浮いたように見せる」。
海外で行う初めてのランドスケープデザインの仕事について小川氏は次のように語った。
「未知の可能性に触れた時に楽しさを感じる。経験のないプロジェクトは違う目線でそれを見ようとする自分がいる。新しい可能性を見つけることができるのではないかと思っている」。

クロアチア・SKYSCAPEプロジェクト
所在地: クロアチア ザグレブ
事業主: 病院
用途: 屋上の休憩スペース
設計: 小川博央建築都市設計事務所
整備面積: 約344.52㎡
バーゴラ構造: 鉄骨造
工事予定期間: 2016~
小川博央

小川 博央 (おがわ ひろなか)
1975 香川県生まれ
2000 日本大学大学院生産工学研究科建築工学専攻修了
2000-05 隈研吾建築都市設計事務所
2005 小川博央建築都市設計事務所 設立
2008-14 東洋大学ライフデザイン学部人間環境デザイン学科非常勤講師
2009- 香川大学大学院地域マネジメント研究科非常勤講師
2011- 日本大学生産工学部建築工学科非常勤講師
2014- 日本大学理工学部建築学科非常勤講師