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−− 一号館の窓を拝見すると、一般のフロートガラスとは違ってちょっとうねっている感じがしますね。
野田 一号館を復元する中で、現代のフロートガラスではなくて、当時の歪みの味わいをもったものを使いたいということになりました。そこで、旧・新丸ビルの板ガラス*を再利用し、当時のよさを演出しています。 山極 旧・新丸ビルを解体するときに、ちょうど一号館のプロジェクトが決まったので、もう昔のガラスは手に入らないから、とにかく全部残しておこうということになったんですね。一号館の外部開口はすべてそれを使っています。一号館の開口部は大きいんですが、木の建具なので桟で細かく仕切られています。ですから全部カットして使えました。戦後のガラスですからかなり平滑ですが、雰囲気は残っていますね。 −− 室内側には複層ガラスの開き戸を使われていましたが。 野田 展示室の外部開口はすべて二重窓になっています。これは気密性の確保や遮光パネルを設置可能な仕様とするためです。 山極 一号館はまず、内外装を含めて忠実な復元の建築物をつくったんです。その内側に入れ子の状態で、美術館の機能に必要なものを内装で付け加えています。つまり構造体は一体ですが、二重に内装がついているんですね。 野田 それから一号館では、ライトアップについても単純に煉瓦壁を外から照らすのではなく、復元された窓枠の彫り込みなど開口部の見込部分を照らすことによって、建物自体の表情、奥行を出すようにしています。 山極 ガラスに関しては、いろいろなリサイクルがされていますが、ガラス素材そのものをフィードバックできるようになってほしいですね。今回、旧・新丸ビルのガラスを一号館でうまく活用できましたが、そうでなければ破棄されて産廃になってしまうところでした。同じ素材として使えると、まったく違う活用の仕方が出てくると思うんです。 *昭和20年代の工場製法によるガラス。 |
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