——外装にETFEフィルムを採用した、きっかけを教えてください。
藤本 「ユニクロ 心斎橋店」は日本初のグローバル旗艦店という位置づけです。ニューヨーク、ロンドン、パリ、上海に続く5店舗目で、これまでの4店舗は基本的にはインテリア。外装まで手がける今回は、都市における存在の仕方をどうするか、ということが課題になりました。そこでトータルプロデュース・クリエイティブディレクターという立場で関わる佐藤可士和さんと「(明快さを特色とする)ユニクロというブランドを表現するわけだし、ごちゃっとした街なので、ただ真っ白、というビルもアリかもしれないね」という話をしたのです。
——そこでETFEフィルムが候補に挙がったのですね。
藤本 真っ白、といっても白ペンキでベタッと塗りつぶすようなものでは面白くないですし、何かいい方法はないかなと考えまして......。ETFEフィルムのことは素材としては知っていましたが、これまでにある海外事例のようなムキムキとした表現になるのはどうかな、と少し躊躇してもいました。
——採用の決め手とは?
藤本 膜構造のシステム開発に実績のある太陽工業に相談して、面を形成するためにどのくらいの膨張率が必要か、といったことを教えてもらい、簡単な絵を描いてみたのです。すると何とも不思議な存在感の絵ができました。都市のランドスケープをつくる意味で、重要な役割を担うものになりそうだ、と手応えを感じたのです。また耐火上の制限により、これまで国内では外装に使われていませんでしたが、今回は耐火構造の外壁面の外装とすることでクリアできそう、というおおよその目処も立ち、ユニクロの柳井正社長も気に入ってくれて、採用することになりました。
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