テンポイント®
注意事項
設計・施工上の注意
【テンポイント】
・耐風圧性能
設計風圧、ガラスサイズなどの設計条件に合わせた強度検討をすることによりガラス厚さ、支持点数を決定します。
・断熱性能
単板または合わせガラスの呼び厚さに応じた熱貫流率より、断熱性能を求めます。関東以北に使用する場合、結露に対する検討が必要になります。断熱性能を高めた複層ガラス仕様も併せてご検討ください。
・防火性能
防火性能はありませんので延焼のおそれのある部分に使用することはできません。
・飛散防止性能
強化ガラスを用いた構法ですが、強化ガラスといえども割れないガラスではありません。また、強化ガラスは破損すると破片が粒状になり、ガラスが脱落するおそれがあるため、合わせガラスにしたり飛散防止フィルムを貼るなどの脱落防止措置を講じる必要があります。
●強化ガラスに関するご注意 =警告=
「強化ガラスを安全にお使いいただくために」を必ずお読みください。
使用上の注意
【テンポイント】
- ・ガラスの清掃方法については一般の板ガラスと同様に行ってください。ただし、飛散防止フィルム面についてはガラス表面に比べ傷が付きやすくなりますので十分注意が必要です。また透明感を維持するためにもメンテナンス方法については事前にご相談ください。
強化ガラスを安全にお使いいただくために
- 注)耐熱強化ガラスをお使いの際にもご確認ください。
■ 強化ガラスを安全にお使いいただくために
強化ガラスは強度が高く、万一破損しても破片が細かい粒状になる安全性の高いガラスですが、破損時に破片が脱落することがあります。また、一般の板ガラスとは異なる「ガラスの中に存在する不純物に起因するキズ」による不意の破損など、独特の性質をもっています。強化ガラスの基本特性である破損性状や不意の破損などをご理解いただき、ご採用にあたっては使用部位や高さ、その他の安全対策などに関する十分なご検討をお願いいたします。
なおAGCでは、十分管理の行き届いた日本工業規格(JIS)表示許可認定を受けた工場で、強化ガラスを製造しています。また、強化ガラスの製造にあたっては、ガラスの中に存在する微細な不純物に起因する不意の破損をゼロに近づけるため、原料管理、製造設備管理、ヒートソークの処理*などの施策を行っています。さらに今後も品質の向上に努めてまいります。
- * ヒートソーク処理:強化加工後に再加熱処理を実施し、強化ガラスに存在する微細な不純物が含まれていた場合、強制的に破損させる方法。強化ガラスのヒートソーク処理の実施については、品種により異なります。
1.破損の際の特徴
強化ガラスは表面に圧縮応力層があり、内部にそれとバランスした引張応力層があります。強化ガラスの破損時には、ガラス表面の圧縮応力層とガラス内部の引張応力層のバランスが崩れ、一瞬にしてガラスの全面が細かく粒状に破損します。施工条件によっては破損時にガラスが脱落することがあります。通常、破片は粒状にバラバラになりますが、破砕しても粒が離れずに破片の塊になることもあります。また破損時には音を伴う場合があります。
2.破損の原因
強化ガラスの一般的な破損原因は、下記の3点が考えられます。
- ①飛来物や地震など、外部から強い力が加わった場合
- ②小さく鋭いキズが、ガラス表面についた場合
- ③ガラスの中に存在する微細な不純物があった場合
強化ガラスの特徴として、ガラス内部の引張応力層にキズが発生した場合に応力バランスが崩れ、外力が加わっていない状態で不意に破損することがあります。
3.被害発生の可能性
近くに人がいた場合、ガラスの粒状の破片を浴びたり、頭上から落下してきた破片の塊に当たったりすることがあります。破片の塊の大きさによっては人にケガを負わせたり、場合によっては命に関わる事故になるおそれがあります。
4.被害の発生を避けるための措置【強化ガラスの破損落下による被害を避けるためのAGC推奨措置基準】
AGCでは、強化ガラスを安全にご使用いただくために、ガラス破片の落下防止措置について、以下のとおり推奨基準を設けています。なお、ガラスが破損して脱落したときに人がケガをするおそれがある場合や、破損時に人が転落する危険性がある場合には、強化合わせガラスのご採用や、全面に飛散防止フィルムを貼るなど、万一のガラスの破損に対する落下防止措置を必ずおとりください。
- 注)強化合わせガラスや飛散防止フィルムを貼った強化ガラスでも、破損時に非常に細かい破片が脱落する場合があります。
- 1)建築用途に使用する強化ガラス
- ①垂直に使用する場合
強化ガラス製品および強化ガラスを使用した構法をご採用になる場合は、表「強化ガラス製品、構法ごとの使用可能範囲の目安(AGC推奨基準)」をご参照のうえ、以下の注意事項を必ずお守りください。
- ・高所に使用する場合
地上または床面(歩行面)からガラス上端部までの高さが表の16m、または3mを超える高さに強化ガラスを使用する場合、万一の破損時に有効な強化合わせガラスのご採用や、全面に飛散防止フィルムを貼るなど、施工法に応じた落下防止措置を必ずおとりください。また、安全性の面から、落下防止措置なしでご使用いただける範囲内であっても、建物用途や使用部位、周辺の状況に応じて落下防止措置を講じることをお薦めします。
- ・強化ガラスを使用した複層ガラス
片側に強化ガラスを使用する複層ガラスの場合は、室内側に強化ガラスを使用することを推奨します。両側に強化ガラスを使用する複層ガラスの場合は、室外側を強化合わせガラスにすることを推奨します。いずれの場合も、強化ガラスを使用した面の高さが、表「強化ガラス製品、構法ごとの使用可能範囲の目安(AGC推奨基準)」に該当するかどうかでご判断ください。
- ・高所に使用する場合
- ②傾斜面、水平面に使用する場合
- ・アトリウムなどの屋根、スカイライト、トップライトなど傾斜面、水平面に強化ガラスを使用すると、万一破損した場合に比較的大きな破片の塊となって落下するおそれがありますので、使用する高さにかかわらず、落下防止措置のない強化ガラス単板や複層ガラス下側への落下防止措置のない強化ガラスのご使用はおやめください。
- ・強化合わせガラスのご採用や、全面に飛散防止フィルムを貼るなどの落下防止措置をおとりください。
- ・複層ガラスの上側に強化ガラスを使用する場合でも、下側のガラスは合わせガラスもしくは飛散防止フィルム貼りのガラスとしてください。
- ③フレームレス構法に使用する場合
強化ガラスのエッジが露出したり、部分的に支持する場合が多いため、構法に応じた落下防止措置を必ずおとりください。枠を使用していない手摺など、破損時に人が転落する危険性がある場合も、落下防止措置を必ずおとりください。また、エッジが露出している場合、強化合わせガラスや飛散防止フィルムを貼った強化ガラスでも、エッジから破片が脱落するおそれがあります。エッジが露出する場合には、エッジカバーを取り付けるなど、落下防止対策を施してください。
- ①垂直に使用する場合
- 2)建築用途以外に使用する強化ガラス
家具などに金具で強化ガラスを留める場合、金具と強化ガラスが直接接触すると破損の原因となります。必ず緩衝材を入れ、金具と強化ガラスが直接接触しないようにしてください。
■ 飛散防止フィルムによる落下防止措置
飛散防止フィルムによる落下防止措置を講じる場合は、フィルムメーカーが定める施工法に従い、正しく施工してください。また、フィルムメーカーが推奨する性能保証期間を過ぎた場合は、速やかにフィルムを交換してください。
■ 強化ガラスに打刻されたマークについて
AGCでは、1995年7月以降に出荷している全ての強化ガラス製品*に対して、品種・製造年月・製造工場などの情報のマークを打刻しています。
- *テンポイント構法など、フレームレスファサードに使用する強化ガラスを除く。