強化ガラス

ガラスは、光を通す透明な素材として、窓ガラスや手摺り、間仕切り、ドアなどさまざまな部位に使用されます。想定される風圧や衝撃が大きい場合など、より高い強度のガラスが必要とされます。

  • 強化ガラス
  • 倍強度ガラス

強化ガラス

強化ガラス断面応力図、強化ガラスの割れパターン画像

強化ガラスは、フロート板ガラスを軟化温度(約650℃)付近まで加熱した後、ガラス表面に空気を吹き付けて急冷してつくります。急冷すると、ガラスの表面が先に温度が下がり収縮して固まります。一方、ガラス内部は表面に比べて温度が下がるのが遅く、収縮するのも遅れます。そのために、先に固まったガラス表面層によってガラス内部は収縮が抑えられ、ガラス表面には圧縮応力層、ガラス内部には引張り応力層が生じた状態になります。ガラスは圧縮に強く引張りに弱い性質を持っています。ガラスに力が加わるとガラスはたわみます。そうすると力の加わった反対側の面に引張り応力が発生し、その応力に耐えきれなくなると割れてしまいます。しかし、強化ガラスには、ガラスの表面に引張り応力に対抗する圧縮応力層が存在するため、普通のフロート板ガラスに比べて、割れにくくなっています。また、強化ガラスは、表面の圧縮応力層と内部の引張り応力層のバランスがくずれると、全面が一瞬にして割れてしまいます。

JIS R 3206 「強化ガラス」に該当する商品は、<テンパライト><ミストロンエース><ホームテンパ><ホームミストロン>などがあります。
強化ガラスは割れた場合に破片が小さくなるので、ガラスを用いた開口部の安全設計指針では、割れても安全なガラスとなっています。

倍強度ガラス

倍強度ガラスは、フロート板ガラスを加熱し冷却することで、ガラスの表面に圧縮応力層をつくり、強度を向上させています。
同じ呼び厚さのフロート板ガラスに比べて、約2倍の耐風圧強度をもっています。また熱割れに対しても、同じ呼び厚さのフロート板ガラスに比べて、約2倍の強度を持っています。万一割れた場合には、強化ガラスのように破片が細かい粒状にはならず、フロート板ガラスに近い割れ方となります。
JIS R 3222 「倍強度ガラス」に該当する商品は、<HSライト>です。