導入事例

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快適な室内

6.断熱と遮熱-1(断熱)

断熱・遮熱

一見、似たことのように思える「断熱」と「遮熱」。
「断熱」は「冬季に熱が屋外に逃げていくのを防ぐこと」。
「遮熱」は夏季に日射熱が室内に入るのを防ぐこと」と考えてください(図1)。          

         

【画像】(図1)

(図1)

断熱と遮熱

熱エネルギー移動の原則

【画像】(図2)

(図2)

熱は温度の高い方から低い方へ移動していきます。

熱の移動を考える時、エネルギーは高いほうから低いほうに流れる、つまり熱いほうから冷たいほうに移動します(図2)。冬の窓辺の冷え冷え感は冷気が窓を通して侵入したという実感には違いありませんが、エネルギーの原則からは室内の熱が窓を通して屋外に出ていく結果です。

外気と室温に差がある場合に内外の熱の移動をできるだけ少なくする「断熱」のこと

建物の基本的な断熱は、室内の快適温度を、シェルターとしての建物の外殻でできるだけキープすることです。外気と室温に差がある場合に内外の熱の移動をできるだけ少なくするということですが、床・壁・屋根などの部位は基本的に不透明なので、その構造や材料の組み合わせ、厚み等で高度な断熱性能を得ることが可能です。しかし窓だけは採光という役割があるため、単一素材としてのガラスそのものに断熱性能を持たせなければなりません。ガラスの断熱性能の目標は、クリアな透明性を損なうことなく、可能な限りガラス単体で外壁と同じ性能を持つ材料にすることと言えるでしょう。

建物の部位を熱が移動する数値「熱貫流率」のこと。

壁や窓などの各「部位」で、それを境に内外で、どのくらい熱が移動するかを示すのが「熱貫流率(U値)」という数値です。

【画像】(図3)

(図3)

熱貫流率の概念図

これは、「部位面積1㎡あたり、内外の温度差が1°Cの時1時間に移動する熱量」を表す数値で単位は(W/㎡・K)ワット。数値が小さいほど移動する熱量が少なく断熱性能に優れます(図3)。各材料には熱伝導率という単一材料内を移動する熱量の固有の数値があります。これは当然熱貫流率の値に影響しますが、熱貫流率はこれらの材料の組み合わせ後の、「部位」としての熱移動の単位と言うことになります。
参考までに、木造在来工法で厚さ105mmの高性能断熱材を使用する内断熱外壁のU値は0.409(マグ・イソベール(株)資料より)。
これに対して単板ガラス5ミリではU値5.9と、窓ガラス部分が弱点であることがわかります。

窓の高断熱化はゼロエネルギー住宅を作る上の基本です。

ゼロエネルギー住宅(ZEH)は設備機器等の性能を上げ、太陽光発電システム等の再生エネルギーを利用して住宅のエネルギー収支をゼロにする試み(使った分のエネルギーを自宅で創り出す)ですが、建物そのものの断熱・遮熱性能を上げて消費エネルギーを少なくする前提なしには成立しません。この意味で建物の熱の出入りの弱点である窓の断熱・遮熱はきわめて重要なことと言えるでしょう。

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