導入事例

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快適な室内

7.断熱と遮熱-2(遮熱)

断熱・遮熱

光と熱を通してしまう、ガラスでの「遮熱」をどうする?!
ガラスでおこなう遮熱の特殊性とは。

遮熱という言葉がわかりやすくなったのは、遮熱塗料が一般化してきたことが大きいと思います。例えば屋根材の表面に塗装して屋根の温度の上昇を抑える、すなわち部位の表面(外側)で太陽の熱を跳ね返す機能です。
この遮熱機能をガラスに持たせる場合、屋根塗料と違ってまず透明性を大きく損なわないことが必要です。太陽光(日射)は光と熱が一緒にガラスを通って入って来るため、簡単に言えば目に見える光を通しながら日射熱の一部を反射や吸収して軽減する機能がガラスの遮熱機能なのです。

放射熱の移動を抑えるのがLow‐E複層ガラス。このLow-E膜は遮熱と断熱の両方に機能します。

遮熱機能をもつ代表的なガラス、Low-E複層ガラスは外から来る日射熱はカットしながら、冬季に室内で作られた温かさを室外に逃がさない働きもします。
この役割を担うのが複層ガラスの片面に加工されたLow‐E膜です。Low‐EというのはLow Emissivity(低い放射率)のことで、この膜は塗料やフィルムではなく、ガラスの片面に極めて薄い銀(Ag)を保護膜とともに複数層コーティングする技術です。銀の層が熱をカットしこの層が多くなるほど性能が増します。(図1)  

【画像】(図1)

(図1)

Low-E膜は複層ガラスの中空層に面した表面片側にコーティングされています。

 

Low‐E膜はガラスの片面にコートされると述べましたが、基本的に複層ガラスとして成立する製品で、外気に触れない空気層側にコートされています。複層ガラスは2枚のガラスの間に乾燥空気層を持つものですが、では2枚のガラス(室外側・室内側)のどちらにコートされていると思いますか?
答えは・・室外側のガラスにコートされたものと室内側のガラスにコートされた2種の商品があります。その理由は、熱の来る側(温度の高い側)にLow‐E膜を使うのが最も効果を発揮するからです。(図2)  

【画像】(図3)Low-E膜の位置

(図2)Low-E膜の位置

温暖地では屋外側、寒冷地では室内側が効果を発揮します。

夏季は遮熱性能に、冬季は断熱性能に優れ、一年中室内の熱環境を守るのがLow-E複層ガラスです。

「低い放射」の「放射」というのは熱の伝わり方のひとつで、離れた物体に温度差がある場合、その熱エネルギーは高いほうから低いほうに移動して平均化しようとする現象です。複層ガラスは2枚のガラスを使う製品ですが、室内外の温度や日射によって2枚のガラス自体に温度差が生じます。この場合熱エネルギーの高いほう(夏季は室外側、冬季は室内側)から反対側の低いほうにエネルギーが移動するのを抑える、すなわち放射熱の移動を抑えるのがLow‐E複層ガラスなのです。結果として夏季は遮熱性能に優れ、冬季は断熱性能に優れた機能を持つガラスになるのです。

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